Joyce Lee
[ソウル 29日 ロイター] - 高齢化が進む韓国の労働組合は、定年の引き上げを求めて経営側と争っている。不十分な年金を補うため再就職が必要で、それまでの数年間の雇用を確保するのが狙いだ。
国内2大中央組織の一つ、韓国労働組合総連盟(FKTU)は声明で「定年後に質の低い仕事に就かなければならないことは60代の不安定な労働につながっている」とする。
韓国では高齢者の貧困率が経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の3倍となっている。2025年には人口の5分の1以上が65歳を超えると予想されており、定年延長要求が高まっている。
しかし反対派は、定年延長は若者の雇用見通しを悪化させ、企業が環境の変化に対応する妨げになると主張する。
ポスコ・ホールディングス傘下の鉄鋼メーカー、ポスコの労組は、経営陣と賃金で合意できなかったため、ストライキ実施の可否について投票する予定。労組幹部が29日に明らかにした。要求項目には定年を60歳から1歳引き上げることも含まれていた。
30日にスト計画を発表する可能性があるのは現代自動車の労組で、60歳から64歳への定年延長も要求している。
韓国の法律では定年を60歳かそれ以上と定めているが、ほとんどの企業は定年を最低の60歳に設定している。
しかし、国民年金公団(NPS)は生年月日によって63─65歳にならないと支給を開始せず、年金は賃金の一部を置き換えるものにしかならないのが現状だ。