Miho Uranaka
[東京 30日 ロイター] - パナソニックホールディングスは30日、2024年3月期連結売上高(国際会計基準)と営業利益見通しを、それぞれ8兆4000億円、4000億円へと引き下げた。スマートフォンやパソコンなどICT分野(情報通信技術)の低迷や中国市場での市況悪化の影響に加え、電気自動車(EV)向け電池の減産も響いた。従来予想は8兆5000億円、4300億円だった。
通期営業利益見通しは、IBESがまとめたアナリスト18人による予想4232億円を下回った。通期の純利益見通しは維持した。
7―9月期のEV電池については、米国インフレ抑制法(IRA)に関する補助金の影響を除くと収益性が大きく悪化。北米のEV需要が補助金対象の比較的価格の安い車両にシフトしたことで、高価格帯向けの需要が鈍化し、国内工場の生産量を4―6月比で6割減産した。生産調整に伴う固定費削減が遅れる一方で開発投資を継続し、車載電池は赤字に転落した。電池事業全体では、通期の調整後営業利益見通しを15%引き下げた。
梅田博和・グループ最高財務責任者(CFO)は会見で、テスラの高級価格帯であるモデルSやモデルX向けの電池需要が急速に落ち込んだと説明。国内工場では一部ラインを止めるなどして対応しており、現在在庫は適正化したという。ただし、今後もフルラインの生産は期待しておらず、テスラ向けだけでなく顧客のすそ野を広げることも検討するとした。なお北米工場については「旺盛な需要が続いている」と述べた。
同時に公表した23年4―9月期連結業績は、純利益が前年同期比2.6倍の2883億円と、同期間では過去最高益を更新した。IRA補助金や、液晶製造子会社の解散に伴う法人所得税費用の減少などが利益を押し上げた。
(浦中美穂 編集:石田仁志)