Ritsuko Shimizu
[東京 14日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループは14日、2024年3月通期の連結純利益見通しを8200億円から9200億円(前期比14.2%増)に上方修正した。2014年3月期以来、10年ぶりの過去最高益となる。本業のもうけを示す業務純益の伸びに加え、下期に政策保有株の売却も予定している。
IBESがまとめたアナリスト11人による連結純利益予想平均値8532億円を大きく上回った。9200億円は現中期計画の最終年度となる25年度の目標9000億円も超過している。業務純益も600億円引き上げ1兆4000億円とした。
伊藤文彦グループ最高財務責任者(CFO)は会見で、下期について、市場部門を保守的に見ているほか、為替も1ドル130円を想定、米貨車リース事業売却のマイナス要因があるものの、引き続き業務純益の伸びを見込んでいることや政策保有株の売却予定があり、上方修正を行ったと説明した。
金利上昇の業績への影響については「一番大きいのは、短期のマイナス金利が解除されて10ベーシス上がることが大きい」と述べた。マイナス金利政策解除で政策金利がゼロ%になれば、業務純益を300億円強、純利益を200億円程度押し上げるとの試算を示した。マイナス金利解除の時期については「来年春、春闘の賃上げ動向を見極めたうえで必要に応じて解除がある」との見通しを示した。
米国債投資は「米国の利上げが最終局面にきている」と指摘し、足元まで買い増してきたが、今後は「残高をそれほど増やさない」という。一方、日本国債はぎりぎりまで残高を減らしている中「今すぐJGBのポートフォリオを増やしていくわけではないが、利上げのペースを見ながら機動的にポートフォリオを構築していく」とした。
業績の上方修正を踏まえ、株主還元の強化を打ち出した。同日、2600万株(発行済み株式の1.9%)・1500億円を上限とする自己株取得を決議した。取得期間は11月15日―2024年3月31日で、取得した全株式を24年4月20日に消却する予定。1500億円の自社株買いは、過去最大規模だという。
また、年間配当は期初予想比20円増額の270円(前年は240円)とした。これにより、総還元性向は62%となる。
23年4─9月期の連結純利益は前年同期比0.2%増の5264億円だった。上期として過去最高益を更新した。 太田純社長は健康上の理由で決算会見を欠席した。