*10:23JST 中国 ガザ紛争に関するG7外相声明の欺瞞性を批判【中国問題グローバル研究所】
11月7日から東京で開催され8日に共同声明を発表したG7外相会合に関して、ガザ紛争に対する声明の欺瞞性とダブルスタンダードを批判する声が中国のネットに溢れている。
急降下する岸田首相の支持率の中、筆者自身、せめて上川外相の活躍をと期待したが、共同声明を出せるか否かに力を注いだだけで、あの比類なき残虐無残さでガザの民の命を奪うイスラエルの攻撃を止める役割は果たし得ない。
初日にアメリカのブリンケン国務長官との対談でハマスの急襲攻撃に対して上川外相が「あれはテロです!アメリカの見解に全面的に賛同します!」という趣旨のことを「力強く」表明した段階で、「ああ、これはダメだ」と失望した。
拉致はもちろん許されないが、しかしハマスの襲撃は1948年以来のパレスチナ人に対する不当な虐待と「パレスチナの地」からパレスチナ人を追い出し、アメリカの軍事力を背景に横暴を極めてきたイスラエルへの抵抗運動だ。
その根源から目をそらしアメリカにおもねる日本の姿勢に実に失望したのである。
北京に戻って大学で教えている昔の教え子が「日本が“G6と日本”という形になったとき、お、日本、やるな!また強くなるかなと、一瞬思いました」という便りを寄せてきた。
◆強引に一致点に漕ぎ着けようとしたため説得力に欠ける
11月8日の中国新聞網は(※3)という見出しで、G7外相会合の共同声明を批判している。
以下、報道内容を略記する。
1.G7共同声明のおざなりな態度
この声明はイスラエル・パレスチナ紛争に多くのスペースを割いているにも拘(かか)わらず、イスラエルに対してガザでの軍事作戦に「人道主義」を考慮する世にと軽く促しているだけだ。
G7は、国際社会が人道的停戦の即時を求める声を強めることを避けてきた。
2.G7のダブルスタンダード
G7グループは共同声明の中で、他国を非難する時には人道や道徳などの点で激しく相手を責めているが、しかし現実に人道的大惨事が起き、何としても国際社会の力でそれを食い止めなければならない時には躊躇する。
「無辜のパレスチナ人の命の尊厳と緊急な救済」が必要な時に、「政治的打算」の方を躊躇なく選んだ。
3.米国とG7の真の動機
アメリカもG7もイスラエルに影響力を行使できないわけではなく、イスラエル・パレスチナ問題に介入する能力も持っている。
しかし、彼らはガザにおけるイスラエルの軍事作戦を黙認し、あるいは容認することさえ選択している。
その理由は単純で、中東における戦略的利益と同様に、イスラエルに対する影響力を失うことを恐れているからだ。
4.国際社会の対応
G7の欺瞞的な顔を前にして、国際社会は正義の側に決然と立ち、即時停戦とパレスチナ民間人の支援を果敢に推進しなければならない。
同時に、G7の欺瞞を暴き、人道問題におけるダブルスタンダードをより多くの人々に認識させる必要がある。
ガザ地区の人道的大惨事はエスカレートし続けており、国際社会は停戦を切望している。
しかしアメリカとG7は共同声明で「停戦」という言葉を避け、イスラエルに対する「人道主義」を呼びかけるにとどまった。
この問題に関して、G7の欺瞞性を国際社会に対して明らかにし、パレスチナの民間人のための人道的停戦と和平を推し進めるよう呼びかけたい。
◆G6(日本を除くG7)の共同声明に希望を見い出した中国人元留学生
冒頭にも書いた昔の教え子で、今では北京の有名大学で教授として教鞭を執っている中国人元留学生が、「日本を除くG7」=G6が10月22日に「イスラエルの自衛権を認めて支持する」共同声明を発表したことに関して、「うわっ、凄い!日本、やるじゃん!アメリカの言いなりにならない日本ってカッコいい!」と思ったと便りを寄こしてきた。
1980年代や90年代は、日本留学は中国の若者の憧れで、帰国した90年代末当時はまだ、日本留学が自慢だったようだ。
しかし今では日本留学であることを恥ずかしく思わなければならないような状況にある。
学生からバカにされるので、あまり知られないようにしているという。
先般、日本が初めてアメリカの言いなりにはならなかったことから、「もしかしたら日本はまた強くなってくれるかもしれない」と希望を抱いたそうだ。
しかしそれは束の間のできごとで、G7の外相声明を知って、やはり日本に留学したことはあまり知られないようにしようと、肩身の狭い思いをしていると落胆していた。
そう言えば、10月22日以降しばらくの間、中国のSNSウェイボー(微博)でG6に関するコメントをよく見かけたように思う。
やはり「日本、たまには良いことをやる」という趣旨のことが書いてあったり、「また昔のように強くなるのかな」というものもあったりした。
それも瞬く間に消えて、「美国的走狗(アメリカの犬)」に戻ってしまった。
ロシアがウクライナの民に対して残虐な攻撃を加えていた時、西側諸国はこぞってロシアの非人道性を非難した。
しかし今、イスラエルがロシアの比ではない、人類としてあり得ないような残虐を極める攻撃をパレスチナの子供や赤ちゃんや老人にも続けているのを見て、それを緊急に阻止させるどころか、アメリカなどは強烈な軍事支援をしているではないか。
赤ちゃんを殺すために「もっとやれ」とばかりに応援しているということになる。
胸がつぶれそうで苦しくて、そのような画面を直視することさえできない。
しかもパレスチナ人は1948年からイスラエルに「パレスチナの地」を追われて難民となり、土地を奪われ虐殺され迫害され続けてきた。
ガザ地区などは高い壁に囲まれて、そこから出ることさえ許されず、食糧や電力を断たれた中であえいでいる。
その状況で間断なく最強の兵器で爆撃し続けるなど、人間のやることではない。
人類として許されてはならないことだ。
イスラエルの国防関係者は「あの壁の中にいるのは獣だ」と豪語したことがある。
したがって「人道」を考える必要はないという流れでの発言だった。
ナチスドイツにユダヤ人が迫害された時には、中東でも温かく亡命したユダヤ人を迎えたからこそ、パレスチナの地にユダヤ人も居住できたはずだ。
アメリカの金融を支え、アメリカの大統領選を動かすユダヤ人に対して、アメリカがイスラエルの要望通りに、不平等にも、パレスチナ人の尊厳を認めないことがもたらした悲劇だ。
中立になれる、滅多にない機会を逃し、日本はアメリカの走狗になり、欺瞞とダブルスタンダードの側に立っている。
無念でならない。
この論考はYahoo(※4)から転載しました。
写真: 代表撮影/ロイター/アフロ
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://baijiahao.baidu.com/s?id=1781993845500460818&wfr=spider&for=pc
(※3)https://baijiahao.baidu.com/s?id=1782130575310633244&wfr=spider&for=pc
(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/426051d32047555e41f3c733f7626ae37b818143
<CS>
急降下する岸田首相の支持率の中、筆者自身、せめて上川外相の活躍をと期待したが、共同声明を出せるか否かに力を注いだだけで、あの比類なき残虐無残さでガザの民の命を奪うイスラエルの攻撃を止める役割は果たし得ない。
初日にアメリカのブリンケン国務長官との対談でハマスの急襲攻撃に対して上川外相が「あれはテロです!アメリカの見解に全面的に賛同します!」という趣旨のことを「力強く」表明した段階で、「ああ、これはダメだ」と失望した。
拉致はもちろん許されないが、しかしハマスの襲撃は1948年以来のパレスチナ人に対する不当な虐待と「パレスチナの地」からパレスチナ人を追い出し、アメリカの軍事力を背景に横暴を極めてきたイスラエルへの抵抗運動だ。
その根源から目をそらしアメリカにおもねる日本の姿勢に実に失望したのである。
北京に戻って大学で教えている昔の教え子が「日本が“G6と日本”という形になったとき、お、日本、やるな!また強くなるかなと、一瞬思いました」という便りを寄せてきた。
◆強引に一致点に漕ぎ着けようとしたため説得力に欠ける
11月8日の中国新聞網は(※3)という見出しで、G7外相会合の共同声明を批判している。
以下、報道内容を略記する。
1.G7共同声明のおざなりな態度
この声明はイスラエル・パレスチナ紛争に多くのスペースを割いているにも拘(かか)わらず、イスラエルに対してガザでの軍事作戦に「人道主義」を考慮する世にと軽く促しているだけだ。
G7は、国際社会が人道的停戦の即時を求める声を強めることを避けてきた。
2.G7のダブルスタンダード
G7グループは共同声明の中で、他国を非難する時には人道や道徳などの点で激しく相手を責めているが、しかし現実に人道的大惨事が起き、何としても国際社会の力でそれを食い止めなければならない時には躊躇する。
「無辜のパレスチナ人の命の尊厳と緊急な救済」が必要な時に、「政治的打算」の方を躊躇なく選んだ。
3.米国とG7の真の動機
アメリカもG7もイスラエルに影響力を行使できないわけではなく、イスラエル・パレスチナ問題に介入する能力も持っている。
しかし、彼らはガザにおけるイスラエルの軍事作戦を黙認し、あるいは容認することさえ選択している。
その理由は単純で、中東における戦略的利益と同様に、イスラエルに対する影響力を失うことを恐れているからだ。
4.国際社会の対応
G7の欺瞞的な顔を前にして、国際社会は正義の側に決然と立ち、即時停戦とパレスチナ民間人の支援を果敢に推進しなければならない。
同時に、G7の欺瞞を暴き、人道問題におけるダブルスタンダードをより多くの人々に認識させる必要がある。
ガザ地区の人道的大惨事はエスカレートし続けており、国際社会は停戦を切望している。
しかしアメリカとG7は共同声明で「停戦」という言葉を避け、イスラエルに対する「人道主義」を呼びかけるにとどまった。
この問題に関して、G7の欺瞞性を国際社会に対して明らかにし、パレスチナの民間人のための人道的停戦と和平を推し進めるよう呼びかけたい。
◆G6(日本を除くG7)の共同声明に希望を見い出した中国人元留学生
冒頭にも書いた昔の教え子で、今では北京の有名大学で教授として教鞭を執っている中国人元留学生が、「日本を除くG7」=G6が10月22日に「イスラエルの自衛権を認めて支持する」共同声明を発表したことに関して、「うわっ、凄い!日本、やるじゃん!アメリカの言いなりにならない日本ってカッコいい!」と思ったと便りを寄こしてきた。
1980年代や90年代は、日本留学は中国の若者の憧れで、帰国した90年代末当時はまだ、日本留学が自慢だったようだ。
しかし今では日本留学であることを恥ずかしく思わなければならないような状況にある。
学生からバカにされるので、あまり知られないようにしているという。
先般、日本が初めてアメリカの言いなりにはならなかったことから、「もしかしたら日本はまた強くなってくれるかもしれない」と希望を抱いたそうだ。
しかしそれは束の間のできごとで、G7の外相声明を知って、やはり日本に留学したことはあまり知られないようにしようと、肩身の狭い思いをしていると落胆していた。
そう言えば、10月22日以降しばらくの間、中国のSNSウェイボー(微博)でG6に関するコメントをよく見かけたように思う。
やはり「日本、たまには良いことをやる」という趣旨のことが書いてあったり、「また昔のように強くなるのかな」というものもあったりした。
それも瞬く間に消えて、「美国的走狗(アメリカの犬)」に戻ってしまった。
ロシアがウクライナの民に対して残虐な攻撃を加えていた時、西側諸国はこぞってロシアの非人道性を非難した。
しかし今、イスラエルがロシアの比ではない、人類としてあり得ないような残虐を極める攻撃をパレスチナの子供や赤ちゃんや老人にも続けているのを見て、それを緊急に阻止させるどころか、アメリカなどは強烈な軍事支援をしているではないか。
赤ちゃんを殺すために「もっとやれ」とばかりに応援しているということになる。
胸がつぶれそうで苦しくて、そのような画面を直視することさえできない。
しかもパレスチナ人は1948年からイスラエルに「パレスチナの地」を追われて難民となり、土地を奪われ虐殺され迫害され続けてきた。
ガザ地区などは高い壁に囲まれて、そこから出ることさえ許されず、食糧や電力を断たれた中であえいでいる。
その状況で間断なく最強の兵器で爆撃し続けるなど、人間のやることではない。
人類として許されてはならないことだ。
イスラエルの国防関係者は「あの壁の中にいるのは獣だ」と豪語したことがある。
したがって「人道」を考える必要はないという流れでの発言だった。
ナチスドイツにユダヤ人が迫害された時には、中東でも温かく亡命したユダヤ人を迎えたからこそ、パレスチナの地にユダヤ人も居住できたはずだ。
アメリカの金融を支え、アメリカの大統領選を動かすユダヤ人に対して、アメリカがイスラエルの要望通りに、不平等にも、パレスチナ人の尊厳を認めないことがもたらした悲劇だ。
中立になれる、滅多にない機会を逃し、日本はアメリカの走狗になり、欺瞞とダブルスタンダードの側に立っている。
無念でならない。
この論考はYahoo(※4)から転載しました。
写真: 代表撮影/ロイター/アフロ
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://baijiahao.baidu.com/s?id=1781993845500460818&wfr=spider&for=pc
(※3)https://baijiahao.baidu.com/s?id=1782130575310633244&wfr=spider&for=pc
(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/426051d32047555e41f3c733f7626ae37b818143
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