Martin Coulter
[ロンドン 30日 ロイター] - 米アルファベット傘下グーグルは、米マイクロソフトの英国での事業慣行がクラウド事業の競合企業を著しく不利にしているとして、英競争当局である競争・市場庁(CMA)に対処を求める書簡を送った。ロイターが書簡を閲覧した。
グーグルは書簡で、マイクロソフトのライセンス供与制限は、顧客による競合サービスの利用を不当に妨げていると指摘。マイクロソフトのクラウド基盤「Azure(アジュール)」と併行して別のプロバイダーを利用することさえも難しくしていると訴えた。
「英国の顧客は、競合サービスの価格、品質、セキュリティー、技術革新、機能の方が良いと思っても、クラウド・サービス・プロバイダーとしてアジュールを使う以外に経済的に妥当な代替手段が無い状態に置かれている」としている。
マイクロソフトの事業慣行は、英国のクラウド市場において唯一の重大な競争障壁だとグーグルは指摘した。
マイクロソフトとアマゾン・ドットコムによるクラウド事業の寡占を巡っては、英国、欧州連合(EU)米国の当局が調査に乗り出している。英国では情報通信庁(Ofcom)の要請を受け、CMAが10月に調査を開始した。
マイクロソフトは昨年、こうした懸念に答えてライセンス供与のルールを見直したが、競合他社は満足していない。
同社の広報担当者は、同社は独立系のクラウド事業社と協力して懸念に対処しており、世界中で100社以上がルール変更の恩恵を受けたと説明。「最新の外部データによると、ハイパースケーラー(大規模なクラウド事業者)間の競争は引き続き健全だ。2023年第2・四半期にマイクロソフトとグーグルはアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に対し、同程度の小幅なシェア拡大を達成したが、AWSが依然として他に大幅な差を付けて世界首位に立ち続けている」と述べた。
グーグル・クラウドのバイスプレジデント、アミット・ザベリー氏は、自社は顧客が簡単にプロバイダー間を移動できる方法を採用していると述べ、マイクロソフトの対応修正が必要だとの見方を示した。