プレミアムデータをご提供:最大 50% 引きでInvestingPro特別セールを請求する

アングル:自動車各社の野心的EV目標、今年は厳しい現実に直面

発行済 2023-12-15 18:26
更新済 2023-12-15 18:27
© Reuters.  2023年は、全車両電動化の目標に向けしのぎを削る自動車業界が厳しい現実を突きつけられた一年となった。写真は米フォード・モーターの電気自動車(EV)「マスタング・マッハ
GM
-
F
-
TSLA
-

Joseph White

[デトロイト 11日 ロイター] - 2023年は、全車両電動化の目標に向けしのぎを削る自動車業界が厳しい現実を突きつけられた一年となった。

ロイターの分析によると、自動車メーカーは電気自動車(EV)をニッチ製品から量産モデルに変える戦略について、30年までに1兆2000億ドルを投資する心構えで23年を迎えた。

しかし、年終盤となり、既存メーカーもテスラ、リビアンのような新興メーカーも投資を抑制し、製品戦略を練り直している。既存メーカーはコスト負担の大きいEV移行への補助金を増額するよう当局に働きかけている。

世界的に消費者のEV需要は増えているが、EV普及は米国をはじめとして業界幹部らが想定したほど速くは進んでおらず、期待されたほどの収益も出ていない。

高金利によってEVの多くは中間所得層にとって手が届かないものとなった。また充電インフラの不足は、数分のガソリン補給で数百キロ走行できる環境に慣れたドライバーにとっては難点だ。

自動車ディーラー大手オートネーションのジェフ・パラント最高執行責任者(COO)は「EVが乗用車事業の未来だ」と強調するが、価格や充電設備への懸念が原因で「今後3─4年は紆余(うよ)曲折があるだろう」と予想した。

業界トップらは35年までに全車両を電動化する目標についてリスクヘッジする動きを鮮明にしている。

米ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は今月、35年までの全車両電動化を依然として目指しているか問われ、「顧客の状況に合わせて調整する」と答えた。

<高い期待とその後の失望>

米フォードの電動ピックアップトラック「F─150ライトニング」は強気見通しの修正を余儀なくされた好例だ。

当初の強い需要を受け、同社は8月、ミシガン州の組み立て工場で年間生産ペースを3倍の15万台にするため、新たに3番目の交代シフトを組んだ。

しかし、10月にはこのシフトを早速廃止。F─150の需要が生産ペースを維持するのに十分なほど伸びていなかったためで、約700人の従業員が一時帰休となった。

EVの主要市場である中国、欧州、米国では、EV需要は依然として自動車全体の需要を上回るペースで伸びている。

オートフォーキャスト・ソリューションズによると、世界のEV生産台数は30年までに3倍増の3340万台に達する見込み。

<2つの課題>

業界幹部はEV普及には将来的に2つの課題があると指摘する。それは手頃な価格と充電インフラへのアクセスだ。

充電インフラの整備が遅々として進まないため、主要な既存メーカーは今年、EV大手テスラと提携し、自社製EVの購入者がテスラの高速充電器「スーパーチャージャー」のネットワークを利用できるようにした。

コンサルティング会社アリックスパートナーズの自動車担当幹部、マーク・ウェイクフィールド氏は「自動車メーカー各社が(テスラの)規格を受け入れたのは、充電に対する懸念が需要を抑制していることに気づいている明確なシグナルだ」と指摘。

© Reuters.  2023年は、全車両電動化の目標に向けしのぎを削る自動車業界が厳しい現実を突きつけられた一年となった。写真は米フォード・モーターの電気自動車(EV)「マスタング・マッハE」。11月10日、スペイン北部ビルバオで撮影(2023年 ロイター/Vincent West)

「手頃な価格」とは主要顧客である中間所得層に、高い生産コストをカバーして利益も出せる価格設定を納得のいく額だと認めてもらうことだと業界では理解されている。

大半の既存メーカーは現時点で手頃な価格が達成不能となっている。

EVで利益を出しているテスラですら、中国と米国で組み立てラインをフル稼働させるために値下げを余儀なくされている。

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます