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シナネンHD Research Memo(5):減益の主因は電力事業の苦戦、主力事業などその他は順調

発行済 2023-12-28 16:15
更新済 2023-12-28 16:30
© Reuters.
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*16:15JST シナネンHD Research Memo(5):減益の主因は電力事業の苦戦、主力事業などその他は順調 ■業績動向

1. 2024年3月期第2四半期の業績動向
シナネンホールディングス (TYO:8132)の2024年3月期第2四半期の業績は、売上高141,213百万円(前年同期比1.1%増)、営業損失2,150百万円(前年同期は営業損失820百万円)、経常損失1,765百万円(前年同期は経常損失425百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失2,074百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益852百万円)と増収減益になった。
売上高は全般的におおむね順調だったが、電力事業の苦戦が減益の主因である。
このため、公表されていないが、2024年3月期第2四半期の同社目標値に対して大きく下回った模様である。
なお、親会社株主に帰属する四半期純損益の減益は、前期に計上した固定資産売却益剥落の影響が大きい。



国内のエネルギー業界は、主力の石油類・LPガスの仕入価格に影響を及ぼす原油価格・プロパンCPが、主要産油国の協調減産による供給懸念に伴い高水準で推移したが、ウクライナ情勢などで需給が逼迫した前年同期と比べると緩和しており、2年ぶりの低水準となった。
また、記録的な猛暑にかかわらず節電意識の高まりなどを背景に首都圏のピーク時電力利用量が4年ぶりに減少したため、電力の卸市場価格は低位で推移することとなった。
このような環境のなか、同社は、「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」というビジョンの達成に向けて第三次中期経営計画をスタート、2027年度の創業100周年に向けて成長戦略を進め、経営基盤の強化を図っている。


事業面では、既存事業の収益拡大と脱炭素社会の実現に寄与する新規事業の創出を両輪に、第三次中期経営計画で示した取り組みに基づいて収益性の向上を図った。
新たな取り組みとしては、BtoC事業で、顧客数拡大に向けたベストミックスのサービスを目指し、CO2排出量を実質ゼロにする「ミライフカーボンニュートラルLPガス」の販売を開始した。
BtoB事業では、電力や再生可能エネルギーなど総合エネルギーサービスへのポートフォリオ転換に向け、ワイヤレス充電技術を有するWiTricity Corporationと、EV(電気自動車)のワイヤレス充電システムの日本市場での販売展開に関する基本合意を締結した。
また、オフサイトコーポレートPPA※による再生可能エネルギー電力の提供も開始した。
非エネルギー事業においては、シェアサイクル事業で、「HELLO CYCLING(R)」全体の運営品質の向上を目的としたメンテナンス体制の構築や「ダイチャリ短期設置プラン」の開始など、シェアサイクルの利用と普及の促進を目指した取り組みを推進した。
また、2023年10月のスタートだが、建物維持管理事業で、サービスやリソースを集約して高品質なサービスをワンストップで提供することを目的に、建物維持管理4社を統合した「シナネンアクシア(株)」を設立した。


※オフサイトコーポレートPPA:農家の所有する農地などに設置した太陽光発電による自然エネルギーを同社が需要家に長期的に供給するという契約。



この結果、売上高は、原油価格の低下に伴い販売単価が下落したものの、石油類と電力の販売数量増加により増収を確保した。
しかし、電力事業で売上総利益が悪化したため、全体の売上総利益が減少して営業損失が拡大することとなった。
販管費については、給料手当など人件費に加えシェアサイクル事業と電力事業関連の支払手数料が増加したが、LPガスの販売数量減少に伴う運送費やボンベなど備品費といった販売変動経費が減少したため、微増にとどめることができた。
なお、期初の同社想定に対して、主力の石油類・LPガスの仕入価格に影響を及ぼす原油価格・プロパンCPが想定以上に上昇したことで売上高が上振れたが、営業利益については、電力事業以外ほぼ想定通りに進捗したものの、電力事業の売上総利益が悪化したことで期初想定を大きく下回った。



前期の調達と今期の販売で逆ざやが発生
2. 電力事業苦戦の背景
電力事業の売上総利益悪化の要因は次のとおりである。
前期において、原油高や円安による仕入価格高騰のリスクに備えて今期の卸電力市場価格を30円/kWhと想定し、25円~30円/kWhで電源の確保を行った。
しかし、太陽光発電の普及や節電意識の高まりなどを背景に、想定に反して今期の卸電力市場価格が低水準で推移し、調達電源価格が割高となってしまった。
このような状況のなか、2024年3月期第1四半期の大手需要家に始まり、価格改定を進めた2024年3月期第2四半期には一般需要家にも解約が拡大、加えて猛暑でありながら想定を超えた夏場の需要減少もあって、電源の余剰につながった。
顧客の離脱を防ぐため導入した市場連動メニューによって新たな大口顧客を獲得、期初から進めている価格改定によって小売販売単価を引き上げたものの、結局、余剰を解消することはできなかった。
このため、余剰となった電源を、安値で推移する電力卸市場で販売するか、15円/kWh※レベルで相対で売却するしかなく、その結果、逆ざやが発生して電力事業の売上総利益が悪化したのである。
こうした事態に対し同社は、エネルギー企業としてカーボンニュートラルを考えた場合に電力という商材を外すことはできないため、市場リスクを軽減すべく提供プランの見直しを図るなどリスクコントロールに関していくつかのオプションを検討しているところである。


※2024年3月期第2四半期の卸電力市場価格(東京・スポット)の月平均値は12円/kWh弱で推移した。



こうした電力事業の苦戦に対して、灯油など石油類は、軽油・重油を中心に数量は前年同期比で増加し、計画に対しても若干上回ったようだ。
LPガスは、2022年8月及び同年12月~2023年1月と2回価格を改定した効果により、2024年3月期第2四半期は単価、差益ともに改善した。
オフシーズンとはいえ夏の猛暑で数量が大幅に減少したため売上総利益は苦戦したが、物流費など変動的経費が減少したことでセグメント利益に貢献することとなった。
このように苦戦の電力に対して、主力の石油類とLPガスはおおむね順調だったということができる。
いずれも、多少の暖冬は想定しているようだが、ピークシーズンの冬場(下期)が本格的な勝負となる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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