[ワシントン 11日 ロイター] - 米連邦航空局(FAA)は11日、 アラスカ航空が運航していたボーイング製旅客機「737MAX9」の側壁の一部が飛行中に吹き飛んだ事故を受け、同型機に関する正式な調査を開始すると発表した。
アラスカ航空の事故では、オレゴン州のポートランド国際空港を離陸した同機の機体の左側の一部が上昇中に吹き飛んだ。同機はポートランド空港に引き返し、乗客171人と乗員6人は全員無事だった。
事故を受け、FAAはすでに安全点検のため同型機の一部となる171機について運航停止を指示している。大半はアラスカ航空とユナイテッド航行の運航便。
運航再開には、ボーイングによる機体の点検・維持に関する指示書の修正をFAAが承認する必要があり、これに関してボーイングとFAA、航空会社が11日に協議を開いたが、合意がまとまらなかったと関係筋は話した。
FAAは10日付のボーイング宛て書簡で、完成機が承認された通りに設計され、FAAのルール下で安全に運航する状態だったかという確認を同社が怠ったかどうかを調査すると説明。
ボーイングの株価は11日、2.3%下落。事故発生以降は10%余り下落している。
ボーイングは声明で「FAAと国家運輸安全委員会(NTSB)の調査に対し、完全に透明性をもって協力していく」と述べた。
アラスカ航空とユナイテッドは8日、運航停止となった737MAX9機の初期点検で、複数の機体でボルトの緩みが見つかったと報告している。
議会上院のエド・マーキー議員らはボーイングのデーブ・カルフーン最高経営責任者(CEO)に送付した書簡で、737MAXが過去に墜落事故を起こした点に言及し「ボルトの緩みは、安全な航空機を製造するボーイングの能力に関する組織的問題だと深く懸念している」と記した。
上院商業科学運輸委員会のマリア・カントウェル委員長は、FAA宛ての書簡でボーイングの品質管理に疑問を呈し、FAAの監視手順についても同社が安全に運航できる機体を製造しているかを確かめるのに不十分だったようだと指摘した。
一方、ワシントン州の裁判所では事故機の乗客がボーイングを相手取り集団訴訟を起こした。代理人弁護士は事故が乗客に経済的、身体的、精神的負担をもたらしたと指摘した。