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焦点:フォーミュラE参戦、EV追い上げ図る既存自動車メーカー

発行済 2024-01-29 08:29
更新済 2024-01-29 08:36
© Reuters. 既存自動車メーカーはEV市場で先行するテスラなどを追い上げるべく、EVレースの世界シリーズ「フォーミュラE」への参戦を通じて、航続距離や効率の改善、あるいは低価格化など、

Nick Carey

[ロンドン 23日 ロイター」 - 既存自動車メーカーは電気自動車(EV)市場で先行するテスラなどを追い上げるべく、EVレースの世界シリーズ「フォーミュラE」への参戦を通じて、航続距離や効率の改善、あるいは低価格化など、量産型EVの改善に向けたイノベーションを狙っている。

フォーミュラEは、多くのモータースポーツファンの心をつかむのに苦労している。電動レーシングカーにはガソリンエンジンのような持続的なパワーと爆音がないため、依然としてフォーミュラ1(F1)には観客数で大差をつけられている。

だが、フォーミュラEに参戦する従来の自動車メーカーは、出力の最大化やエネルギー回生を巡る競争が高効率のモーターやインバーター、性能や航続距離を改善するソフトウエアの開発に役立っているとしている。フォーミュラEでは、各レースのスタート時のバッテリー容量は完走に必要なレベルの60%に制限され、残りは回生ブレーキにより発電する規定となっている。

EV移行においても、スポーツカーではよりパワフルで高効率、また大衆車モデルでは低価格の車種がそれぞれの競争で勝利する可能性が高い。

タタ・モーターズ傘下のジャガー・ランドローバー(JLR)は、150億ポンド(約2兆8150億円)を投じてEV生産の追い上げを図っている。ジャガーTCSレーシングチームのジェームズ・バークレー代表によれば、JLRは次世代の高級EVモデルの効率改善に向けて、フォーミュラEのレース車両向けに開発したシリコンカーバイド・インバーター技術を活用する予定だという。

JLRは、レース車両のバッテリーの温度管理に関する経験を活かし、すでに販売済みのEV「ジャガーI-PACE」の航続距離を無線アップデートにより20キロメートル延長した。

JLRで生産エンジニアリング部門を率いるトーマス・ミューラー氏は、「これからはEVの時代だ」と言う。「だからこそ、戦略の一環としてフォーミュラEに参戦している」

日産自動車もEV分野での追い上げを目指しており、2026年までに19のフル電動モデルを計画している。「日産フォーミュラE」チーム代表のトマソ・ボルペ氏は、同チームのレース用車両のソフトウエアは当初、日産「リーフ」で使われたものをベースにしていたと語る。

ボルペ氏によれば、日産は一般向けEVの製品ライン全体に関して、モーターやインバーターの効率化やバッテリーパックの小型化を進めたいと考えている。フランスに本拠を置く同フォーミュラEチームの上級エンジニアは、日本のパワートレイン開発者と毎週会議を行って進捗(しんちょく)状況を確認しているという。

「レースからの技術移転を可能な限り進めているが、消費者にとって手の届く価格にする必要がある」とボルペ氏は言う。

ポルシェがフォーミュラEに参戦しているのは、高級EVの開発に向けて技術だけではなく人材も育成する狙いがある。チームディレクターのフロリアン・モドリンガー氏は、ポルシェは昨年、フォーミュラEプログラムのトップエンジニア2人を市販車部門に移籍させたと明らかにした。

<最新技術の実験室>

別の道を選んだメーカーもある。

BMWは2021年にフォーミュラEから撤退した。「(技術移転の)チャンスはすでに活かしきった」という理由だった。

メルセデスもフォーミュラEから撤退し、その代わりにF1チームを活用してEVの効率改善を支援している。フォードは2026年にF1に復帰するが、EV開発の土台とすることも計算に入れている。

フォーミュラEを創設したアレハンドロ・アガグ氏は、「参戦を継続するメーカーは明らかに、最新技術をテストする実験室としてフォーミュラEを捉えている」と語り、各チームが進歩を見せた重要な分野として、急速充電の技術を指摘した。

モータースポーツにおける最新の進歩が市販モデルへと波及するには時間がかかるのが普通だ。

だが、低価格モデルを中心にEVの展開を進めているステランティスは、傘下の高級車ブランド「DS」のフォーミュラEチームから得られた成果を他の13のブランドと共有することでEV開発を加速している。DSパフォーマンスディレクターのユージェニオ・フランゼッティ氏が語った。

フランゼッティ氏は「EV革命がこれまでと違うのは 、技術移転が超ハイペースで進むという点だ」と話している。

(翻訳:エァクレーレン)

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