[北京 29日 ロイター] - 中国の大手国有銀行、中国銀行は最大1500億元(210億ドル)の総損失吸収力(TLAC)債を発行する計画を明らかにした。国際的な資本要件を満たすため、2025年の期限を前に大幅な資金不足を補う国内初の大手国有銀行となる。
26日に上海証券取引所に提出した文書で明らかにした。TLAC債は国内外の市場で発行する。
中国の銀行監督当局は22年、大手国有銀行に対し、金融システムの不安定化のリスクを防ぐため、TLAC債の発行を認めた。
TLAC債は銀行が経営破綻した際に、債権者に元本の削減や免除を要求できるほか、普通株への転換が可能。
5大銀行の中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、交通銀行は、中国当局や主要国・地域の金融当局で構成する金融安定理事会(FSB)から「グローバルなシステム上重要な銀行」に指定されており、25年1月1日からTLACの所要水準がリスクアセットの16%以上、28年1月1日から18%となる。
フィッチ・レーティングスのリポートによると、中国の大手行は、景気下支えや不動産開発業者、地方政府の投資会社への支援などを今後さらに求められれば、資本調達圧力が強まる見通し。
他の大手行も近くTLAC債の発行計画を明らかにする見通しで、大手5行は基準を満たすため、25年までに追加で1兆7000億元、28年までに6兆3000億元を発行するとみられている。