Stephen Nellis Max A. Cherney
[31日 ロイター] - 米半導体大手クアルコムが31日発表した第2・四半期(1─3月)の利益見通しは、市場予想を上回った。売上高は市場予想と一致した。人工知能(AI)向け半導体の新製品投入が昨年のスマートフォン市場低迷からの回復を後押しする見通し。
時間外取引で株価は一時上昇したが、その後は2%安に転じた。直近では0.8%安。
投資家は、中国での「アンドロイド」スマートフォン向け製品販売を懸念している。
クアルコムの幹部はアナリスト向け電話会見で、中国市場における第2・四半期の半導体売り上げは横ばいになるとの見通しを示した。アナリストによると、クアルコムが中国で競合他社にシェアを奪われていることを示している。
第2・四半期の売上高は93億ドル、1株当たり調整後利益は2.30ドルと予想。LSEGがまとめたアナリストの売上高予想は93億ドル、1株当たり利益は2.25ドル。
グレート・ヒル・キャピタルのトーマス・ヘイス氏は「クアルコムにとって5%の増収と24%の増益は、懐疑的な決算シーズン環境下において非常に建設的だ」と指摘した。
第1・四半期(昨年12月24日終了)の売上高は99億4000万ドル、1株当たり利益は2.75ドルとなり、市場予想の95億2000万ドル、2.37ドルをそれぞれ上回った。
半導体セグメントでは、クアルコムは第2・四半期の売上高を79億ドル(中間値)と予測。アナリスト予想の78億6000万ドルを上回った。特許ライセンス事業の売上高は13億ドル(同)と見込んでおり、アナリスト予想と一致した。
第1・四半期を見ると、半導体とライセンス事業の売上高はそれぞれ84億2000万ドル、14億6000万ドル。LSEGのデータによると、アナリスト予想は79億9000万ドルと14億1000万ドルだった。
半導体事業のうち、モバイル端末の第1・四半期売り上げは66億9000万ドルで、ビジブル・アルファのデータによる予想の63億7000万ドルを上回った。
自動車とIoT(インターネット・オブ・シングス)半導体の売り上げはそれぞれ5億9800万ドルと11億4000万ドルで、アナリスト予想は5億1830万ドルと12億2000万ドルだった。
<サムスンと半導体供給合意>
クアルコムはまた、韓国サムスンとの間で、同社のスマートフォン最上位モデル「ギャラクシーS24」向けに半導体をグローバルに供給することで合意したと発表。しかし、この契約はサムスンの最新モデル全てをカバーするものではなく、サムスン独自の半導体を使用するモデルもあり、サムスンがクアルコム製半導体を全面的に使用していた前世代から状況が一転した。
実際、クアルコムは複数の面で困難に直面。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は米国の輸出規制により4Gスマホでのみクアルコム製品を使用しているほか、台湾の聯発科技(メディアテック)は中位・プレミアム機種のアンドロイドスマホでクアルコムの牙城に挑戦している。
サミット・インサイツのアナリスト、キンガイ・チャン氏は「メディアテックの業績・見通しと単純に比較するだけで、クアルコムが中国のアンドロイド市場でシェアを失っているという懸念が明確に裏付けられる」と語る。
特許ビジネスでは、クアルコムはアップルが2027年3月までライセンス契約を延長したと明らかにした。