*14:05JST NECキャピ Research Memo(5):2024年3月期はファイナンス事業の伸長等により過去最高益を達成(1)
■業績動向
1. 2024年3月期業績
NECキャピタルソリューション (TYO:8793)の2024年3月期業績は、売上高255,857百万円(前期比0.9%減)、営業利益11,694百万円(同0.2%減)、経常利益11,818百万円(同5.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7,034百万円(同9.6%増)での着地となった。
営業利益及び経常利益は前期比減収となったが、最終利益は増益で過去最高益を更新した。
これは主に前期にインベストメント事業で大型の販売用不動産の売却があった反動や、リース事業における与信関連費用の増加に伴う貸倒引当金繰入額の計上等によるものである。
期初の業績予想比でも、売上高で1.6%減、営業利益で2.6%減、経常利益で5.5%減、親会社株主に帰属する当期純利益で6.2%減と、それぞれわずかに届かなかった。
最終利益では過去最高益となったが、これはインベストメント事業におけるファンド収益に関する非支配持分の控除額が前期比減少したことが直接原因ではあるものの、同社では各事業において収益力の強化を徹底したことにより、売上総利益を着実に積み上げたことが寄与したものとしている。
同社の属するリース業界の2023年度の状況は、リース取扱高実績で4兆5,709億円(前期比7.6%増)※と、コロナ禍後の本格的な経済活動の再開等を受けて堅調に推移した。
このような状況下、同社の基幹事業であるリース事業の契約実行高は官公庁向けの大型案件が一段落したこともあって同4.3%減となった一方で、足もとの営業活動は順調に進捗し、引き続き官公庁向けの大型案件の受注に成功したことや民需の堅調な受注もあって、成約高は同10.3%増の実績を確保した。
※(公社)リース事業協会「リース統計(2024年3月)」より
2. 事業別業績動向
リース事業は、前期に大型賃貸資産の売却があったものの、順調な営業活動が寄与し、売上高228,437百万円(前期比1.8%増)と前期比増収を確保したが、売上総利益は16,521百万円(同0.5%減)、営業利益は5,464百万円(同14.2%減)と前期比減益となった。
営業利益については前期の大型賃貸資産売却の反動のほか、与信関連費用として貸倒引当金を積み増したことが要因である。
同社によればリース事業の基礎収益は改善傾向にあるとのことで、実際に売上高から売上原価を控除した差引利益率で確認してみると、前期の8.49%に対して2024年3月期は8.76%と0.27pt改善しており、その見方は裏付けられた。
契約実行高は2,061億円(同4.3%減)、成約高は2,432億円(同10.3%増)であったが、実行高の減少の要因は前述の通り、官公庁向け大型案件が一段落したことであり、民需はサービス業、流通業、製造業を中心に同3.8%増加し堅調に推移している。
リース事業の業種別契約実行高比率は、官公庁50.5%(前期54.3%)、民需(サービス業・流通業・製造業・その他)49.5%(前期45.7%)となり、民需の比率が前期比さらに高まり、ほぼ半々となっている。
官公庁向けは前期の大型案件の計上に伴う反動により前期比11.1%減少し、民需ではサービス業が同7.6%増、流通業が同10.9%増、製造業が同8.4%増と好調であったが、その他の業種では同10.3%減となった。
機種別契約実行高比率においては、情報通信機器(電子計算機及び関連装置・ソフトウェア・通信機器及び関連装置)76.3%(前期77.1%)、事務用機器・その他23.7%(前期22.9%)となり、情報通信機器の比率が若干下がった。
これは通信機器及び関連装置の実行高が伸長したものの、ウェイトの高いソフトウェアの実行高が減少したためである。
業種別成約高では、官公庁向けは新たに大型案件を獲得したことにより前期比20.5%増と大きく伸長したが、民需は同1.6%減とわずかに減少した。
業種別では流通業が同8.7%増、製造業が同6.0%増だったのに対し、サービス業は同3.9%減、その他の業種では同11.3%減となっている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
1. 2024年3月期業績
NECキャピタルソリューション (TYO:8793)の2024年3月期業績は、売上高255,857百万円(前期比0.9%減)、営業利益11,694百万円(同0.2%減)、経常利益11,818百万円(同5.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7,034百万円(同9.6%増)での着地となった。
営業利益及び経常利益は前期比減収となったが、最終利益は増益で過去最高益を更新した。
これは主に前期にインベストメント事業で大型の販売用不動産の売却があった反動や、リース事業における与信関連費用の増加に伴う貸倒引当金繰入額の計上等によるものである。
期初の業績予想比でも、売上高で1.6%減、営業利益で2.6%減、経常利益で5.5%減、親会社株主に帰属する当期純利益で6.2%減と、それぞれわずかに届かなかった。
最終利益では過去最高益となったが、これはインベストメント事業におけるファンド収益に関する非支配持分の控除額が前期比減少したことが直接原因ではあるものの、同社では各事業において収益力の強化を徹底したことにより、売上総利益を着実に積み上げたことが寄与したものとしている。
同社の属するリース業界の2023年度の状況は、リース取扱高実績で4兆5,709億円(前期比7.6%増)※と、コロナ禍後の本格的な経済活動の再開等を受けて堅調に推移した。
このような状況下、同社の基幹事業であるリース事業の契約実行高は官公庁向けの大型案件が一段落したこともあって同4.3%減となった一方で、足もとの営業活動は順調に進捗し、引き続き官公庁向けの大型案件の受注に成功したことや民需の堅調な受注もあって、成約高は同10.3%増の実績を確保した。
※(公社)リース事業協会「リース統計(2024年3月)」より
2. 事業別業績動向
リース事業は、前期に大型賃貸資産の売却があったものの、順調な営業活動が寄与し、売上高228,437百万円(前期比1.8%増)と前期比増収を確保したが、売上総利益は16,521百万円(同0.5%減)、営業利益は5,464百万円(同14.2%減)と前期比減益となった。
営業利益については前期の大型賃貸資産売却の反動のほか、与信関連費用として貸倒引当金を積み増したことが要因である。
同社によればリース事業の基礎収益は改善傾向にあるとのことで、実際に売上高から売上原価を控除した差引利益率で確認してみると、前期の8.49%に対して2024年3月期は8.76%と0.27pt改善しており、その見方は裏付けられた。
契約実行高は2,061億円(同4.3%減)、成約高は2,432億円(同10.3%増)であったが、実行高の減少の要因は前述の通り、官公庁向け大型案件が一段落したことであり、民需はサービス業、流通業、製造業を中心に同3.8%増加し堅調に推移している。
リース事業の業種別契約実行高比率は、官公庁50.5%(前期54.3%)、民需(サービス業・流通業・製造業・その他)49.5%(前期45.7%)となり、民需の比率が前期比さらに高まり、ほぼ半々となっている。
官公庁向けは前期の大型案件の計上に伴う反動により前期比11.1%減少し、民需ではサービス業が同7.6%増、流通業が同10.9%増、製造業が同8.4%増と好調であったが、その他の業種では同10.3%減となった。
機種別契約実行高比率においては、情報通信機器(電子計算機及び関連装置・ソフトウェア・通信機器及び関連装置)76.3%(前期77.1%)、事務用機器・その他23.7%(前期22.9%)となり、情報通信機器の比率が若干下がった。
これは通信機器及び関連装置の実行高が伸長したものの、ウェイトの高いソフトウェアの実行高が減少したためである。
業種別成約高では、官公庁向けは新たに大型案件を獲得したことにより前期比20.5%増と大きく伸長したが、民需は同1.6%減とわずかに減少した。
業種別では流通業が同8.7%増、製造業が同6.0%増だったのに対し、サービス業は同3.9%減、その他の業種では同11.3%減となっている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)