[東京 12日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、下値不安が続くとみられている。ドル/円 JPY=EBS が一時110円台を付けるなど円高が急速に進行し、企業業績への懸念が強まりつつある。欧州市場の銀行株安や下げ止まらない原油相場など、外部環境に悪材料が山積しており、為替や海外市場の動向を注視した神経質な展開が継続する見通しだ。
日経平均の予想レンジは1万4000円─1万6000円。
日本株が下げ止まらない。昨年末から日経平均は4000円以上の下落。12日終値は2014年10月21日以来、約1年4カ月ぶりに1万5000円を下回った。日経平均ボラティリティ指数 .JNIV は一時50ポイント台まで上昇し、2011年3月の東日本大震災以来の高水準を付けた。相場の先行きには警戒感が強まっている。
来週は春節で休場だった中国・上海株式市場が15日に再開する。すでに休場明けとなった香港株は調整を余儀なくされており、「上海株も当然下落せざるをえない」(銀行系証券)との声が多い。上海株の下落に歯止めが掛からなければ、投資家心理を一層、悪化させる可能性がある。
直近では欧州市場で独銀行最大手のドイツ銀行の株価が急落。金融システムに対する懸念が投資家の不安心理を増幅させており、リスク回避的な円買いも招いている。「中国では3月に全人代を控えており、政策期待などが出てくる可能性がある。だが中国が波乱要因にならなくても、引き続き日本株は為替の動きにかなり影響されてしまいそう」(岡三証券ストラテジストの小川佳紀氏)との見方も出ている。
15日には日本の昨年10─12月期GDP(国内総生産)速報が発表されるほか、16日には日銀によるマイナス金利の適用も始まる。「マネーの流れがどう変化するのか警戒する機関投資家もいる」(国内証券)との声も聞かれるなか、適用後の相場に大きな波乱がなければ、安心材料となりやすい。また急ピッチな株安に伴い「反騰エネルギーが蓄積している」(銀行系証券)との見方もあり、当面上下に大きく振れる相場が続きそうだ。
来週は国内では17日に1月訪日外客数、18日に1月貿易統計が発表される。海外では15日に中国1月貿易収支が公表されるほか、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁が欧州議会で証言する予定。17日に1月26日─27日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、18日に中国1月消費者物価、19日に米1月消費者物価が公表される予定となっている。米国市場はプレジデンツデーの15日は休場となる。
(株式マーケットチーム)