欧州連合（EU）が半導体産業の強化に難航していることを浮き彫りにする動きとして、ウルフスピードはドイツでの30億ドル規模のチップ製造施設の建設を延期した。ノースカロライナ州に本社を置く同社は、当初2023年半ばまでにザールラント州での工場建設を開始する予定だったが、現在は早くて2025年半ばの着工を見込んでいる。この2年の延期は、欧米のEV市場の軟化による設備投資の削減を受けて、ウォルフスピードがニューヨーク工場での増産に重点を移しているためだ。
延期されたドイツ工場は、電気自動車用コンピューターチップの生産を目的としており、アジア製半導体への依存を減らすというEUの広範な構想の一環である。しかし、2022年にEUチップス法（地域の半導体生産能力への投資を通じて430億ユーロを動員しようとするもの）が発足したにもかかわらず、進展は鈍い。2030年までに世界半導体市場シェアの20％を獲得するというEUの野心的な目標は、今やますます手の届かないものとなっている。
ウォルフスピードはドイツでのプロジェクトを完全に断念したわけではなく、必要な資金を求め続けているが、過去1年間で株価が51%も大幅に下落したため、アクティビスト投資家から株主価値を高めるよう圧力を受けている。
インテル、TSMC、インフィニオン、STマイクロエレクトロニクス、グローバルファウンドリーズなど他の半導体大手も欧州新工場計画を発表している。しかし、これらのプロジェクトのうち、建設に着手したものはほとんどなく、財政的な実行可能性を左右する国家補助の承認を欧州委員会から得たものはさらに少ない。
インテル自身の野望は挫折に直面しており、ドイツのマグデブルクに計画されている330億ドルの工場の準備作業の開始が遅れている。ヨーロッパで唯一の最先端ロジック・チップ生産工場となるこの施設は、建設地の表土保全を義務づける環境規制のため、10年後まで完成しない可能性がある。
それでも、欧州ではいくつかの半導体プロジェクトが前進している。TSMCは今年、ドレスデンで110億ドルの工場建設に着手する予定で、ロバート・ボッシュやNXPなどの自動車用チップメーカーと協力する。STマイクロエレクトロニクスは最近、イタリアで50億ユーロの炭化ケイ素工場のEU承認を取得し、オンセミはチェコ共和国での事業拡大計画を発表したが、EUの承認待ちである。
さらに、ドイツのインフィニオンは、EUの援助承認をまだ得ていないにもかかわらず、ドレスデンで2026年完成予定の50億ユーロのパワーチップ工場の建設を進めている。同様に、STマイクロエレクトロニクスは、パートナーのグローバルファウンドリーズ社はまだこのプロジェクトにコミットしていないものの、EUの承認を得て、フランスのクロールに75億ユーロの工場建設を開始した。
欧州委員会による国家補助の承認は、各社が予算の制約、政治的な変化、世界のチップ市場の複雑な状況を乗り切る上で、こうした半導体の取り組みにとって依然として重要な要素である。
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