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これは、前述したChallenge 1500を“6ヶ年中期経営計画”と捉えるという前述の立場に立てば当然のことと言えよう。
エンジニアリング事業は、この6年間を通じて一貫して強化が叫ばれている分野だ。
エンジニアリング事業は、サンワテクノスタイランドにおいてここ数年、着実に売上高を計上してきている。
2016年3月期は前期比横ばいの300百万円程度にとどまったが、Challenge 1500 の期間中も着実に事業を拡大させ、2019年3月期には10数億円の売上高を目指すとしている。
また中長期的な考え方として、同社の3事業部門のうちの、電機部門と機械部門の今後の売上成長は、エンジニアリング事業の伸長による果実としてもたらされるというイメージを同社は描いている。
そのような状況に至るにはある程度時間を要すると考えられるが、それと同時並行で同社が進めるべきことがある。
それはエンジニアリング事業が高収益事業になるということだ。
前述の例に例えると、エンジニアリング事業は加工している分だけ付加価値が取れるはずで、食材として売るよりも高く売れるはずだ。
味付けがおいしければさらに高い値段を取れる。
しかし現状は“レシピが丸見え”状態にあるようで、食材として売っている状態と変わらない収益性にとどまっているもようだ。
この点の改善は、エンジニアリング事業の成長自体と同じ程度に重要なことだと弊社では考えている。
もうからないエンジニアリング事業ではあまり意味がないと考えている。
この点については同社自身がその重要性を最も強く認識しており、今後の状況の推移を見守りたいと弊社では考えている。
同社が収益性を改善できるかについては、社内の人材に加えて社外からも人材獲得を進めて陣容に厚みを増しつつあるのは、まずポジティブな点と言えよう。
さらに、同社が「成長市場をターゲットにした商談」と称する、高成長が期待される分野への進出が着実に拡大している点ももう1つのポジティブ要素だと考えている。
同社は「成長市場ターゲット商談」をエンジニアリング事業のストーリーとは切り離した形で説明してきた。
しかしそれらの商談の内実は、同社の事業部門をまたいだ複数分野の商材を、場合によっては外部の事業パートナーと手を組みながらプロジェクトを進める、まさにエンジニアリング事業そのものの活動と言える。
「成長市場ターゲット商談」の拡大は、同社の経験値向上につながり、“お金の稼げる料理”を作る技術の獲得に大きく貢献すると弊社では期待している。
その意味では、「成長市場をターゲットとする商談」の進捗状況もまた、同社の先行きを占ううえで見逃せないKPI(Key Performance Indicator、重要経営指標)と言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)