■業績動向
(3) Vical社への出資について
アンジェス MGは2016年8月に米Vical社に追加出資を実施したVical社はDNAワクチン分野の先駆け的企業で、長い開発経験・ノウハウと広範な専門知識を有しており、DNAプラスミド(DNAワクチン本体)の自社製造設備も保有している2015年の売上規模は21百万ドルでNASDAQ上場企業となるVical社とは2006年以来、事業(がん治療薬やエボラ出血熱抗血清製剤の開発販売権を取得)と資本(出資比率2.4%)の両面で提携関係にあったが、DNAワクチン分野を第3の収益柱に育成することを目的に、より緊密な協力関係を結ぶため追加出資を行うこととなった出資額は約782百万ドル(約808百万円)、出資比率は18.6%に上昇し筆頭株主となる
今後想定される協業関係としては、DNAプラスミドの製造委託(DNA治療ワクチンに加え、HGF遺伝子治療薬も対象となる可能性)、開発・薬事に関する協力・アドバイス(高血圧DNAワクチンの臨床開発、椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴの米国での臨床開発等)、Vical社のアジュバント(ワクチン効果を高める物質)の評価・利用、新規の共同研究・開発などが挙げられる
(4)財務状況
2016年6月末の財務状況を見ると、総資産は前期末比645百万円増加の5,397百万円となった主な増減要因を見ると、新株予約権の発行と行使によって3,072百万円の資金調達を行い現預金が338百万円増加したほか、保有株式の株式評価額の上昇に伴い、投資有価証券が312百万円増加した
一方、負債合計は前期末比224百万円増加の755百万円となった主にナグラザイムの購入及びNF-κBデコイオリゴ原薬の製造に伴い、買掛金が142百万円増加したまた、純資産は前期末比420百万円増加の4,641百万円となった新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ1,536百万円増加したが、親会社株主に帰属する四半期純損失2,825百万円の計上により利益剰余金が減少した
同社は今後の事業活動資金の充足を目的に、2016年8月に第三者割当による新株予約権を発行した(割当日は8月22日)潜在株式数は765万株となり、すべて行使されれば発行株式数は12%増加することになる当初の行使価額は307円だが修正条件が付されており、前日終値の92%相当額が行使価額となり下限行使価額としては185円を設定している当初行使価額で全て行使されたとすれば資金調達額は2,359百万円となるただ、2017年12月期も研究開発負担が先行する見通しのため、再度、資金調達を実施する可能性がある同社では様々な資金調達方法の中から、慎重に検討を進めながら調達していく方針だ同社ではこうした財務状況を踏まえ、2016年12月期第2四半期累計の決算短信において、継続企業の前提に関する注記を付している
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
(3) Vical社への出資について
アンジェス MGは2016年8月に米Vical社に追加出資を実施したVical社はDNAワクチン分野の先駆け的企業で、長い開発経験・ノウハウと広範な専門知識を有しており、DNAプラスミド(DNAワクチン本体)の自社製造設備も保有している2015年の売上規模は21百万ドルでNASDAQ上場企業となるVical社とは2006年以来、事業(がん治療薬やエボラ出血熱抗血清製剤の開発販売権を取得)と資本(出資比率2.4%)の両面で提携関係にあったが、DNAワクチン分野を第3の収益柱に育成することを目的に、より緊密な協力関係を結ぶため追加出資を行うこととなった出資額は約782百万ドル(約808百万円)、出資比率は18.6%に上昇し筆頭株主となる
今後想定される協業関係としては、DNAプラスミドの製造委託(DNA治療ワクチンに加え、HGF遺伝子治療薬も対象となる可能性)、開発・薬事に関する協力・アドバイス(高血圧DNAワクチンの臨床開発、椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴの米国での臨床開発等)、Vical社のアジュバント(ワクチン効果を高める物質)の評価・利用、新規の共同研究・開発などが挙げられる
(4)財務状況
2016年6月末の財務状況を見ると、総資産は前期末比645百万円増加の5,397百万円となった主な増減要因を見ると、新株予約権の発行と行使によって3,072百万円の資金調達を行い現預金が338百万円増加したほか、保有株式の株式評価額の上昇に伴い、投資有価証券が312百万円増加した
一方、負債合計は前期末比224百万円増加の755百万円となった主にナグラザイムの購入及びNF-κBデコイオリゴ原薬の製造に伴い、買掛金が142百万円増加したまた、純資産は前期末比420百万円増加の4,641百万円となった新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ1,536百万円増加したが、親会社株主に帰属する四半期純損失2,825百万円の計上により利益剰余金が減少した
同社は今後の事業活動資金の充足を目的に、2016年8月に第三者割当による新株予約権を発行した(割当日は8月22日)潜在株式数は765万株となり、すべて行使されれば発行株式数は12%増加することになる当初の行使価額は307円だが修正条件が付されており、前日終値の92%相当額が行使価額となり下限行使価額としては185円を設定している当初行使価額で全て行使されたとすれば資金調達額は2,359百万円となるただ、2017年12月期も研究開発負担が先行する見通しのため、再度、資金調達を実施する可能性がある同社では様々な資金調達方法の中から、慎重に検討を進めながら調達していく方針だ同社ではこうした財務状況を踏まえ、2016年12月期第2四半期累計の決算短信において、継続企業の前提に関する注記を付している
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)