■2016年2月期決算分析
アデランス (T:8170)の2016年2月期決算は、売上高79,153百万円(前期比3.2%増)、営業損失125百万円(前期は2,880百万円の利益)、経常損失548百万円(同5,997百万円の利益)、当期純損失1,860百万円(同5,075百万円の利益)と増収ながら赤字転落での着地となった。
同社は第3四半期決算発表時の2016年1月に業績下方修正を発表したが、その修正値に対しては損失は縮小した。
営業外損益において733百万円の為替差損が計上されたため、営業損失に比べて経常損失が膨らんだ。
また特別損益において201百万円の減損損失と528百万円の事業再編損失を計上したことが主因となって当期損失が拡大した。
これらの損失は主としてラオスの新工場に関わるものである。
北米や欧州などの事業については過去に再編・整理が済んでいるため、今回のラオス新工場の処理で負の遺産の処理は一旦完了したと言える。
事業セグメント別に見ると、アデランス事業(国内男女向けオーダーメイド・ウィッグ)とフォンテーヌ事業(国内女性向けレディメイド・ウィッグ)がそれぞれ、前期比5.6%、同12.0%の減収となり、営業利益でも同様に21.2%、94.8%の大幅減益となった。
海外事業はボズレー事業(植毛)と海外ウィッグ事業が円安効果もあって2ケタ増収となった。
利益面ではボズレー事業が一時的要因で前期比69.4%の減益となったが、海外ウィッグ事業は順調に売り上げを伸ばし、営業損失が縮小した。
国内の男女向けオーダーメイド・ウィッグを扱うアデランス事業の詳細を見ると、女性の新規客向け売上高(下表の“サロン女性・新規”)が2016年2月期通期は前期比28.8%(1,900百万円)の大幅減収となった。
アデランス事業全体の減収幅は1,673百万円であるため、女性の新規客の落ち込みが全てだったと言える。
リピート客の売上高は同2.5%増収となり、既存客の囲い込みには成功しているものの、新規顧客獲得は将来のリピート売上高の動向を示唆するため、安心はできない。
レディメイド・ウィッグのフォンテーヌ事業と合わせて、2016年2月期の大きな特徴として、国内の女性用ウィッグ全体の低調が業績の足を引っ張ったと指摘できる。
女性用ウィッグの苦戦は、2016年2月期第2四半期(上期)の時点で表面化していた現象だ。
弊社では下期の回復に期待をしていたが、現実には下期に入っても競合環境に改善が見られず、減収に歯止めがかからなかった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
同社は第3四半期決算発表時の2016年1月に業績下方修正を発表したが、その修正値に対しては損失は縮小した。
営業外損益において733百万円の為替差損が計上されたため、営業損失に比べて経常損失が膨らんだ。
また特別損益において201百万円の減損損失と528百万円の事業再編損失を計上したことが主因となって当期損失が拡大した。
これらの損失は主としてラオスの新工場に関わるものである。
北米や欧州などの事業については過去に再編・整理が済んでいるため、今回のラオス新工場の処理で負の遺産の処理は一旦完了したと言える。
事業セグメント別に見ると、アデランス事業(国内男女向けオーダーメイド・ウィッグ)とフォンテーヌ事業(国内女性向けレディメイド・ウィッグ)がそれぞれ、前期比5.6%、同12.0%の減収となり、営業利益でも同様に21.2%、94.8%の大幅減益となった。
海外事業はボズレー事業(植毛)と海外ウィッグ事業が円安効果もあって2ケタ増収となった。
利益面ではボズレー事業が一時的要因で前期比69.4%の減益となったが、海外ウィッグ事業は順調に売り上げを伸ばし、営業損失が縮小した。
国内の男女向けオーダーメイド・ウィッグを扱うアデランス事業の詳細を見ると、女性の新規客向け売上高(下表の“サロン女性・新規”)が2016年2月期通期は前期比28.8%(1,900百万円)の大幅減収となった。
アデランス事業全体の減収幅は1,673百万円であるため、女性の新規客の落ち込みが全てだったと言える。
リピート客の売上高は同2.5%増収となり、既存客の囲い込みには成功しているものの、新規顧客獲得は将来のリピート売上高の動向を示唆するため、安心はできない。
レディメイド・ウィッグのフォンテーヌ事業と合わせて、2016年2月期の大きな特徴として、国内の女性用ウィッグ全体の低調が業績の足を引っ張ったと指摘できる。
女性用ウィッグの苦戦は、2016年2月期第2四半期(上期)の時点で表面化していた現象だ。
弊社では下期の回復に期待をしていたが、現実には下期に入っても競合環境に改善が見られず、減収に歯止めがかからなかった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)