■中期経営計画
1. 今後の市場環境
世界最大のジュエリーショーでの受賞と中国本社設立が次のターニングポイントと先述した。
まさに中国・ASEANの拡大するジュエリー需要を取り込むため、欧米を含め世界に打って出るため、桑山 (T:7889)は重要な変化点に差し掛かったと考えられる。
香港に中国本社を設立するのは、香港が世界のジュエリー市場の中心で中国への玄関口であり、その香港での同社プレゼンスの拡大はビジネスチャンスを広げ、また、資金面での融通が利きやすく次の投資がしやすいということが理由と考えられる(当面は中国香港への再投資に使われると考える)。
さらに言えば、人口ボーナス期のASEANが視野に入る。
こうしたことから、中国やASEANでは、経済成長に合わせて同社の収益は拡大することが予想される。
拡大の中身は、中国ジュエリー市場の60%を占める資産性の高い純金市場でなく、ブライダルやファッションジュエリーである。
近年の傾向として、中国でも結婚指輪をペアで買う若者が増えている。
しかも地理的に沿岸部から内陸地方都市へと拡散しつつあるようだ。
一人っ子政策の影響でしばらく婚姻数は伸びないだろうが、ブライダルリングの利用率上昇が需要を押し上げると考えられる。
また、アセアンでは婚姻数自体が増加するうえ利用率も上昇することが予想される。
長期の収益トレンドを見ると、2回目のターニングポイントである総合ジュエリーメーカー化と海外進出によって2000年以降の売上高は増加に転じた。
しかし、利益は横ばい圏にあった。
3回目のターニングポイントによって、中国アセアンでのファッションジュエリー需要の拡大に乗ることができるならば、売上増加のトレンドに加えて利益率の改善も期待できるようになる。
中国本社設立によって、売上高500億円、営業利益率4~5%程度の業績は視野に入れたいところだ。
しかし、同社は中期経営計画を公表していない。
理由は、市況産業のため売上高がぶれやすく将来を予想しづらいこと、それから、売上高ほどに利益の額はぶれないが、それを表現しようとすると収益構造の詳細に分け入ることになって取引上の問題が生じること。
これは短期業績の詳細を公表しないのと似た理由と考えられ、同社の市場環境が一般的な競争や取引状況と異なるためある程度は理解できる。
しかし、一定の条件の下での中期的な数値メドとか期間を限定しない長期ビジョンは発表可能と思えるので、次の東京オリンピックに向かって、是非とも善処していただきたいと切に願うところである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
1. 今後の市場環境
世界最大のジュエリーショーでの受賞と中国本社設立が次のターニングポイントと先述した。
まさに中国・ASEANの拡大するジュエリー需要を取り込むため、欧米を含め世界に打って出るため、桑山 (T:7889)は重要な変化点に差し掛かったと考えられる。
香港に中国本社を設立するのは、香港が世界のジュエリー市場の中心で中国への玄関口であり、その香港での同社プレゼンスの拡大はビジネスチャンスを広げ、また、資金面での融通が利きやすく次の投資がしやすいということが理由と考えられる(当面は中国香港への再投資に使われると考える)。
さらに言えば、人口ボーナス期のASEANが視野に入る。
こうしたことから、中国やASEANでは、経済成長に合わせて同社の収益は拡大することが予想される。
拡大の中身は、中国ジュエリー市場の60%を占める資産性の高い純金市場でなく、ブライダルやファッションジュエリーである。
近年の傾向として、中国でも結婚指輪をペアで買う若者が増えている。
しかも地理的に沿岸部から内陸地方都市へと拡散しつつあるようだ。
一人っ子政策の影響でしばらく婚姻数は伸びないだろうが、ブライダルリングの利用率上昇が需要を押し上げると考えられる。
また、アセアンでは婚姻数自体が増加するうえ利用率も上昇することが予想される。
長期の収益トレンドを見ると、2回目のターニングポイントである総合ジュエリーメーカー化と海外進出によって2000年以降の売上高は増加に転じた。
しかし、利益は横ばい圏にあった。
3回目のターニングポイントによって、中国アセアンでのファッションジュエリー需要の拡大に乗ることができるならば、売上増加のトレンドに加えて利益率の改善も期待できるようになる。
中国本社設立によって、売上高500億円、営業利益率4~5%程度の業績は視野に入れたいところだ。
しかし、同社は中期経営計画を公表していない。
理由は、市況産業のため売上高がぶれやすく将来を予想しづらいこと、それから、売上高ほどに利益の額はぶれないが、それを表現しようとすると収益構造の詳細に分け入ることになって取引上の問題が生じること。
これは短期業績の詳細を公表しないのと似た理由と考えられ、同社の市場環境が一般的な競争や取引状況と異なるためある程度は理解できる。
しかし、一定の条件の下での中期的な数値メドとか期間を限定しない長期ビジョンは発表可能と思えるので、次の東京オリンピックに向かって、是非とも善処していただきたいと切に願うところである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)