[シドニー 25日 ロイター] - 太平洋の島しょ国、ソロモン諸島の政府は、州政府がツラギ島と呼ばれる小さな島全体を貸し出すために中国企業と結んだ契約は違法で、破棄されるべきとの見解を示した。
契約はソロモン諸島のセントラル州と中国森田企業集団(チャイナ・サム・エンタープライズ・グループ)が締結したもので、ソロモン諸島が9月に台湾と断交し、中国と国交を樹立した直後に細部が明らかになっていた。
1985年創業の中国森田は技術や投資、エネルギーなどを手掛ける複合企業。
ソロモン諸島のジョン・ムリア法務長官は声明で、政府の関与なしに、セントラル州と中国企業がこのような合意を結ぶことは法的に不可能だと指摘。「違法で法的拘束力がない契約で、即座に破棄されるべき」とした。
契約は9月22日付となっており、ツラギ島や周辺の島々でのインフラ開発などの幅広い権限を中国森田に付与している。
ツラギ島にはかつてソロモンの首都があったが、現在はガダルカナル島のホニアラに移っている。
中国森田はウェブサイトに掲載した文書で、同社の代表が10月初旬に訪中したソロモンのソガバレ首相に面会したと明らかにしている。
ソロモンへの影響力を強めようとする中国の動きについては、米国と台湾は中国による巨額融資がソロモンに持続不可能な債務負担を背負わせることになるとして警戒感をあらわにしている。
駐パプアニューギニア中国代表部の高官はソロモンで23日に行われた記者会見で、「中国はいわゆる債務のワナをつくり出すような国ではない」と述べて米国などの見方を否定した。ロイターが会見の録音データを入手した。
高官はまた、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL] がソロモンでさらにインフラを構築するのを中国政府は支援するとの見通しを示した。
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