[マドリード 6日 ロイター] - スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16)が、第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が開催されているマドリードで、気候変動対策に抜本的に取り組むよう世界の指導者に呼びかけた。
世界の若い環境活動家のスター的存在になったグレタさんは、太平洋を船で横断してマドリードに到着。6日は、自身が始めて世界に広がった「未来のための金曜日」と呼ばれる抗議運動に参加した。
「今の世界の指導者は、われわれを裏切り続けている。われわれはこれ以上それを許してはならない」。グレタさんは短いスピーチで抗議運動参加者にこう訴え、「変化は、好むと好まざるとにかかわらずやってくる」と付け加えた。
マドリード市当局者によると、抗議運動には約1万5000人が参加。若い参加者がグレタさんの周囲に「人間の盾」を作ったが、見物人との小競り合いが激しくなり、抗議運動の終盤にはグレタさんは赤い電気自動車でステージへと運ばれた。
グレタさんへのメディアスクラムの激しさは、グレタさんが母国スウェーデンの議会前でたった1人で抗議活動を始めた昨年夏以降、環境活動の高まりで気候変動問題が大きく注目されるようになったことを裏づけるものだ。
抗議活動にはスペインの俳優ハビエル・バルデム氏も参加し、「われわれは歴史の重要な分岐点に立っており、初めて声をひとつに訴え始めたようだ」と呼びかけた。
大規模になる森林火災やサイクロン、洪水などへの懸念から、抗議活動に参加する人の数は昨年、世界で数百万単位に膨らんだ。
グレタさんは、同日カルチャーセンターで行われたイベントで、自身と仲間の活動家が、世界の指導者が「もはや逃げ隠れもできない」ようにすると宣言した。
「われわれの勢いは大きくなり、参加者も増えつづけ、われわれの声があちこちに届くようにになってきた。だがもちろん、それが政治的行動に直結する訳ではない」」と、グレタさんは語った。
グレタさんは9月にニューヨークで行われた国連総会に出席するため、公害の原因となる航空機の利用を拒んで船で太平洋を渡り、再び船で欧州に戻っていた。
COP25は2日に開幕し、国連のグテレス事務総長は、「燃える惑星を前に手をこまねいていた世代」になってはならないと訴えた。
13日の閉幕までに、2015年に合意された地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」の実施に向け、交渉担当者らは残された争点の解決を目指している。