John Kruzel
[ワシントン 31日 ロイター] - 米連邦最高裁判所のロバーツ長官は年末に公表した年次報告書で、人工知能(AI)は法曹界にとってプラス、マイナス両方の影響があるとし、進化するテクノロジーが裁判官や弁護士の仕事の進め方を変える中で「慎重さと謙虚さ」が必要と指摘した。
ロバーツ氏は、AIは貧しい訴訟当事者の司法へのアクセスを向上させ、法律分野の研究に革命をもたらし、裁判所がより迅速かつ低コストで案件を解決するのに役立つ可能性を持つとする一方、プライバシーを巡る懸念や現在のテクノロジーでは人間の裁量を再現できない点などを指摘した。
「人間の裁判官が当面は存在すると予測しているが、それと同程度の確信で司法の仕事が、特に裁判レベルでAIによる大きな影響を受けると予測している」と説明した。
「AIの活用には慎重さと謙虚さが必要だ」と強調。AIにより弁護士が存在しない事例を法廷文書に引用してしまった例に言及し、「悪い考えだ」と指摘し、「今年大きなニュースになった」と述べた。
トランプ前大統領の最側近だったマイケル・コーエン氏は先週、AIが生成した偽の引用を誤って弁護士に提供し、それが正式な提出書類の中に紛れ込んでしまったと明らかにしている。弁護士がAIを活用して存在しない判例を引用する例は他にもある。