Angelo Amante John Irish Inti Landauro
[ローマ/パリ/マドリード 12日 ロイター] - 米英軍が11日に実施したイエメンの親イラン武装組織フーシ派の関連施設への攻撃への参加を見送ったイタリア、スペイン、フランスの3カ国が、同攻撃を正当化する共同声明への署名も拒否していたことが分かった。海運の要衝で船舶に対する攻撃を続けるフーシ派への対応で、西側諸国の間に分断があることが改めて浮き彫りになった。
米当局者によると、米英軍の11日のフーシ派に対する攻撃に、オランダ、オーストラリア、カナダ、バーレーンが情報(インテリジェンス)とロジスティクス面で支援を提供した。これら6カ国にドイツ、デンマーク、ニュージーランド、韓国を加えた計10カ国が今回の攻撃を正当化する共同声明に署名。フーシ派が引き下がらなければ、紅海の海運を守るために一段の行動を取ると警告した。
イタリア首相府の関係筋は、イタリアは共同声明の署名を見送ったため、フーシ派に対する攻撃への参加を要請されなかったと説明。ただ政府関係筋は、攻撃参加の要請はあったものの、参加するには議会の承認が必要になるほか、紅海の情勢を「沈静化」させる政策を優先しているため、参加を拒否したとしている。
イタリア政府はその後「世界貿易の流れと人道支援のために、自国の船舶を守る権利を持つ同盟国の活動を支援する」との見解を表明した。
フランス政府関係者は匿名を条件に、フランスは米国主導の攻撃に参加することで、レバノンに拠点を置く親イラン組織ヒズボラとイスラエルと間の緊張を和らげるための協議で影響力を失うことを恐れたと語った。フランスはここ数週間、イスラエルの北隣のレバノンでのエスカレートの防止に外交の重点を置いている。
スペインのロブレス国防相は、スペインは平和の促進を願っているため紅海での軍事行動に参加しなかったと説明。マドリードで記者団に対し「どの国も自国の行動について説明する責任がある。スペインは常に平和と対話のために尽力する」と述べた。
米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、フランスは攻撃への参加を拒否したかとの質問に対し、外交的なやりとりについてコメントはしないとした上で、「実際の攻撃に積極的に関与していなくても、米国の多くのパートナー国が作戦以外の支援を申し出た」と指摘。米国は「今回の攻撃を実施するためにバイデン大統領が行使した法的権限に自信を持っている」と述べた。
米国は昨年12月、紅海で商船の安全を守るための有志連合を創設。イタリア、スペイン、フランスの3カ国はこれに参加しておらず、今回のフーシ派に対する攻撃以前から分断は存在していた。
*内容を追加しました。