■今後の見通し
2. 中期経営計画
ティア (T:2485)は中長期目標として、店舗数200店舗、売上高165億円を目標として掲げており、その実現を目指すべく中部エリアでの経営基盤強化と、関東・関西エリアでの収益力強化並びに出店を加速していく経営体制の構築を進めていく方針となっている。
こうした目標を達成していくため、同社は期初に3ヶ年の中期経営計画を発表している。
経営数値目標としては、最終年度となる2019年9月期に売上高12,800百万円、経常利益1,320百万円、葬儀件数10,260件としている。
年平均成長率で見れば、売上高で6.5%、経常利益で7.2%、葬儀件数で6.8%と着実な成長を見込んでいる。
また、自己資本比率は50%以上を維持し経営の安定性も高めていく。
業績計画の前提として、新規出店は年間で9店舗(うち直営4店舗、FC5店舗)を計画し、売上高の前提としては、2年目(2018年9月期)以降、既存店売上高を前期並みの水準とし、新店稼働による増収分だけを増収要因として見込んでいる。
同様に経費についても2年目以降の既存店を前期比横ばいとし、新店稼働に伴う経費の増加及び間接部門の人件費、広告宣伝費の増額分を積み上げた数字となっている。
また、人員については年間15名程度の純増ペースで計画している。
中期経営計画を達成していくための重要施策として以下の4点を挙げている。
(1) 利益成長を持続させつつ継続的な出店とFC事業の業容拡大
出店戦略としては年間で直営4店舗、FC5店舗の合計9店舗を出店していく。
直営店舗では、地盤となる愛知県を中心とした中部地区での出店をメインに展開していくほか、関東・関西地区でのドミナント展開に向けた体制整備を進めていく。
愛知県内では2016年9月期末で合計41店舗を出店しているが、同社は80店舗まで出店余地があるとみている。
このため、今後も愛知県を中心とした中部エリアだけで年間3店舗ペースで出店を進めていく計画だ。
また、関西エリアについても収益性が向上してきたことから、出店を再開する環境は整ってきているが、東京都への進出を2016年より開始したばかりであり、人的リソースが限られていることもあって、当面は都内での葬儀相談サロンの収益化実現を優先的に進めていくものと考えられる。
一方、FCについては神奈川県及び茨城県でのFC店舗の早期収益化に取り組むとともに、太平洋ベルトラインを重点開発エリアとして、新規クライアントの獲得に向けた提案営業を推進していく予定となっている。
ただ、国内景気が堅調に推移するなかで、クライアントが見つかりにくいのが現状で、既存クライアントによる出店に期待がかかる。
なお、設備投資については年間10億円前後と営業キャッシュ・フローの範囲内で実施する計画となっている。
このため財務基盤も今後、大きなM&A案件が出てこない限りは、着実に強化されていくものと予想される。
(2) 業界環境の変化に対応した営業施策とブランド力の向上
核家族化の進展などにより葬儀に対する価値観も多様化し、葬儀スタイルも家族葬などの小規模葬や、葬儀そのものを行わない直葬といった需要が都市部を中心に年々拡大している。
こうした業界環境の変化に対応するため、同社においてもニーズに合わせた様々な葬儀プランを開発すると同時に、コンタクトセンターにおけるユーザビリティ向上、小規模葬に対応するための既存会館の改装(中部エリアで年間2~3店舗)などを進めていく計画となっている。
さらには、差別化戦略として創意工夫をこらした葬儀の提案力にも磨きをかけていく。
ブランド戦略に関しては、社長のメディアでの発信力に加えて、地域でのイベント開催などによるPR強化やIR活動の継続(個人投資家向け説明会を年間20回以上)などにより、全国レベルでの認知度向上に取り組んでいく。
(3) 戦略的な商品開発とM&A
商品戦略では2012年10月に葬儀付帯品を各会館へ配送するための物流センター(TLC)を稼働したのに加え、商品調達手法や取扱商品の見直しを行うことで商品原価率の低減を推進してきた。
今後はTLCの機能拡大(直接仕入先の開拓、FC店舗向けの配送拡大等)を進めていくほか、葬儀関連の一部業務の内製化を進めることで原価低減に取り組んでいく方針だ。
また、M&Aに関しては多くの中小零細の葬儀事業者において経営者の高齢化が進んでおり、事業承継問題が深刻化するなかで、今後はM&A案件が増加していくことが予想される。
こうした状況をチャンスと捉え、M&Aを第3の成長エンジンとできるよう社内に専門組織を設置し、専任スタッフによりM&A案件の検討を進めている段階にある。
ただ、直近では同社の条件に適う案件がほとんどなく、具体的に動きが出始めるまでにはしばらく時間を要しそうだ。
(4) 中長期を見据えた人財の確保、育成
葬儀サービスは究極のサービス業であり、今後の持続的な成長を図っていくためには、人財の育成が最も重要であると同社では捉えている。
実際、足元では人員の増員ペースが計画を下回っている状況にあり、人財の採用・育成が店舗を拡大していくに当たっての課題となってきている。
このため同社は、中長期計画に基づいた人財採用に加えて、人事処遇制度の充実を進めていく予定となっている。
具体的なアクションとしては、2017年4月より退職金制度を導入した。
また、葬儀に関する専門的な知識を有する「マスターセレモニーディレクター」制度を社内に作り、スキルの高い人財の育成に取り組んでいる。
「マスターセレモニーディレクター」とは社葬や寺院などで葬儀を執り行える上級者を指し、同社では年間に3~5名の合格者数を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
2. 中期経営計画
ティア (T:2485)は中長期目標として、店舗数200店舗、売上高165億円を目標として掲げており、その実現を目指すべく中部エリアでの経営基盤強化と、関東・関西エリアでの収益力強化並びに出店を加速していく経営体制の構築を進めていく方針となっている。
こうした目標を達成していくため、同社は期初に3ヶ年の中期経営計画を発表している。
経営数値目標としては、最終年度となる2019年9月期に売上高12,800百万円、経常利益1,320百万円、葬儀件数10,260件としている。
年平均成長率で見れば、売上高で6.5%、経常利益で7.2%、葬儀件数で6.8%と着実な成長を見込んでいる。
また、自己資本比率は50%以上を維持し経営の安定性も高めていく。
業績計画の前提として、新規出店は年間で9店舗(うち直営4店舗、FC5店舗)を計画し、売上高の前提としては、2年目(2018年9月期)以降、既存店売上高を前期並みの水準とし、新店稼働による増収分だけを増収要因として見込んでいる。
同様に経費についても2年目以降の既存店を前期比横ばいとし、新店稼働に伴う経費の増加及び間接部門の人件費、広告宣伝費の増額分を積み上げた数字となっている。
また、人員については年間15名程度の純増ペースで計画している。
中期経営計画を達成していくための重要施策として以下の4点を挙げている。
(1) 利益成長を持続させつつ継続的な出店とFC事業の業容拡大
出店戦略としては年間で直営4店舗、FC5店舗の合計9店舗を出店していく。
直営店舗では、地盤となる愛知県を中心とした中部地区での出店をメインに展開していくほか、関東・関西地区でのドミナント展開に向けた体制整備を進めていく。
愛知県内では2016年9月期末で合計41店舗を出店しているが、同社は80店舗まで出店余地があるとみている。
このため、今後も愛知県を中心とした中部エリアだけで年間3店舗ペースで出店を進めていく計画だ。
また、関西エリアについても収益性が向上してきたことから、出店を再開する環境は整ってきているが、東京都への進出を2016年より開始したばかりであり、人的リソースが限られていることもあって、当面は都内での葬儀相談サロンの収益化実現を優先的に進めていくものと考えられる。
一方、FCについては神奈川県及び茨城県でのFC店舗の早期収益化に取り組むとともに、太平洋ベルトラインを重点開発エリアとして、新規クライアントの獲得に向けた提案営業を推進していく予定となっている。
ただ、国内景気が堅調に推移するなかで、クライアントが見つかりにくいのが現状で、既存クライアントによる出店に期待がかかる。
なお、設備投資については年間10億円前後と営業キャッシュ・フローの範囲内で実施する計画となっている。
このため財務基盤も今後、大きなM&A案件が出てこない限りは、着実に強化されていくものと予想される。
(2) 業界環境の変化に対応した営業施策とブランド力の向上
核家族化の進展などにより葬儀に対する価値観も多様化し、葬儀スタイルも家族葬などの小規模葬や、葬儀そのものを行わない直葬といった需要が都市部を中心に年々拡大している。
こうした業界環境の変化に対応するため、同社においてもニーズに合わせた様々な葬儀プランを開発すると同時に、コンタクトセンターにおけるユーザビリティ向上、小規模葬に対応するための既存会館の改装(中部エリアで年間2~3店舗)などを進めていく計画となっている。
さらには、差別化戦略として創意工夫をこらした葬儀の提案力にも磨きをかけていく。
ブランド戦略に関しては、社長のメディアでの発信力に加えて、地域でのイベント開催などによるPR強化やIR活動の継続(個人投資家向け説明会を年間20回以上)などにより、全国レベルでの認知度向上に取り組んでいく。
(3) 戦略的な商品開発とM&A
商品戦略では2012年10月に葬儀付帯品を各会館へ配送するための物流センター(TLC)を稼働したのに加え、商品調達手法や取扱商品の見直しを行うことで商品原価率の低減を推進してきた。
今後はTLCの機能拡大(直接仕入先の開拓、FC店舗向けの配送拡大等)を進めていくほか、葬儀関連の一部業務の内製化を進めることで原価低減に取り組んでいく方針だ。
また、M&Aに関しては多くの中小零細の葬儀事業者において経営者の高齢化が進んでおり、事業承継問題が深刻化するなかで、今後はM&A案件が増加していくことが予想される。
こうした状況をチャンスと捉え、M&Aを第3の成長エンジンとできるよう社内に専門組織を設置し、専任スタッフによりM&A案件の検討を進めている段階にある。
ただ、直近では同社の条件に適う案件がほとんどなく、具体的に動きが出始めるまでにはしばらく時間を要しそうだ。
(4) 中長期を見据えた人財の確保、育成
葬儀サービスは究極のサービス業であり、今後の持続的な成長を図っていくためには、人財の育成が最も重要であると同社では捉えている。
実際、足元では人員の増員ペースが計画を下回っている状況にあり、人財の採用・育成が店舗を拡大していくに当たっての課題となってきている。
このため同社は、中長期計画に基づいた人財採用に加えて、人事処遇制度の充実を進めていく予定となっている。
具体的なアクションとしては、2017年4月より退職金制度を導入した。
また、葬儀に関する専門的な知識を有する「マスターセレモニーディレクター」制度を社内に作り、スキルの高い人財の育成に取り組んでいる。
「マスターセレモニーディレクター」とは社葬や寺院などで葬儀を執り行える上級者を指し、同社では年間に3~5名の合格者数を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)