ドル/円相場は、78.00~78.50円の狭いレンジで揉み合う展開になっている。リスクマーケット全体の地合が悪化する中、10月11日には一時77.95円までドル安・円高が進行した。ただ、その後は日銀の追加金融緩和期待や対ユーロでのドル高圧力からドルの戻り売り圧力も強く、明確な方向性を打ち出せていない。手掛かり難からポジション調整中心の膠着相場と化している。
9月13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、10月5日の日本銀行金融政策決定会合、8月米雇用統計と重要イベントを一通り消化したことで、短期的な材料出尽くし感から相場は膠着感を強めている。FOMCで量的緩和第3弾(QE3)の導入が決定されるも、米雇用統計が市場予測を上回ったことで、QE3の早期終結観測がドルに買い戻しを誘う場面も見られた。ただ、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が景気回復傾向が強くなった後も金融緩和政策を維持する方針を鮮明にする中、ドル買い戻し圧力が本格化するには至っていない。新規失業保険申請件数なども改善しているが、FRBの見ている緩和政策解除のハードルは高く、今後もドルの上昇余地は限定されよう。
一方、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会では、特に目立った動きは見られなかった。日本当局からは円高是正に理解を求める発言が相次いだが、当然にこれで円売り介入などの政策対応が行われ易くなったとの楽観的な評価は聞かれない。円サイドからドル高・円安トレンドを形成するのも難しいだろう。リスクマーケット全体の地合悪化傾向も考慮すれば、素直にドル売り・円買いスタンスを維持すべきと考えている。
今後1週間の予想レンジは、77.25~79.00円。