ドル/円相場は、78円台中盤でやや強含みの展開になっている。欧州債務問題の一服、米雇用統計の改善を受けて、ややドル買い・円売り優勢になっている。ただ、値動き自体はそれ程大きなものではなく、ポジション調整の域を脱していない。
8月31日~9月1日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)であるが、特に目立った進展は見られなかった。「経済活動は今年上期にやや減速した」と景気判断は下方修正されるも、特に追加緩和についての具体的な言及は行われていない。このため、経済指標チェックのムードが広がる中で発表されたのが、8月36日の7月米雇用統計だった。マーケットでは余り強めの数値は予測されていなかったが、実際には非農業部門就業者数が前月比+16.3万人に達し、市場予測+10.0万人を大きく上回った。これは少なくとも直ちに追加金融緩和が必要な数値ではなく、金融政策面からドル買い・円売りを促した。また、リスクオンの地合が、これまでリスク回避の流れで展開していたドル売り・円買いポジションの巻き戻しも誘っている。ただ、5月以降は78~80円のボックス相場が続いており、同レンジをブレイクするようなシナリオは描きづらい。一時的なドルの戻り局面との評価で十分だろう。
欧州債市場は膠着気味になっている。欧州中央銀行(ECB)理事会で示された政策対応の意向が、今後は実行に移されるか否かを見極めるステージになる。具体的なスケジュールが提示されていないため、マーケットも評価に迷っている。ECBによる南欧国債の買い入れ期待が続く間は、ドル/円相場の下落余地は限定されよう。
今後1週間の予想レンジは、78.00~79.25円。