ドル/円相場は、79~80円水準で揉み合う展開になっている。欧州債務問題の動向に一喜一憂する展開になるも、明確な方向性は打ち出せていない。6月19~20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和第3弾(QE3)の有無を巡る思惑も小康状態になっており、決め手に乏しい。
6月28~29日に欧州連合(EU)首脳会合が開催されたが、スペインの銀行救済などを巡って合意形成に成功した。銀行援助の条件が緩和されており、少なくとも当面の間は金融危機再発のリスクが先送りされることになる。あくまでも有事対応の一つに過ぎず、根本的な問題解決に向けての動きは依然として鈍い。ただ、追加支援に消極姿勢を崩してこなかったドイツからの譲歩を引き出せたことには意外感があり、リスクマーケットは素直にポジティブ評価を行っている。ドル/円相場に対しては、リスク回避のドル売り・円買いポジションの巻き戻し圧力になる。ただ、そもそもリスク回避の円買い圧力が限定されていたため、大きな動きには発展していない。
目先は欧州債務問題が小康状態を迎えることができるのかが、最大の焦点になる。ただ、米金利がほぼ横這い状態で推移する中、ドル/円相場も大きな値動きは想定しづらい。もっとも、7月6日の米雇用統計が低調な内容に留まれば、改めて米金利低下圧力が強まり、ドル相場の上値は圧迫されよう。非農業部門就業者数の市場予測は前月比+9.0万と、前月の+6.9万人を上回る見通しになっている。ただ、雇用改善ペースの伸びが抑制される可能性が高いことには変化が見られない。インフレ圧力が抑制されていることもあり、今後もQE3観測が米金利とドル相場の上値を圧迫しよう。ドルの戻り売り基調は、今後も継続する可能性が高いとみる。7月11~12日には日銀金融政策決定会合も控えているが、引き続きドル/円相場の主導権はドルサイドになる見通し。
今後1週間の予想レンジは、79.00~80.50円。