英ポンド/円相場は、150円の節目を挟んでやや弱含みの展開になっている。英景気の先行き不透明感が蒸し返されていることに加えて、対米ドルでの急激な円安に対する修正圧力が強まる中、ポンド売り・宴会が優勢になっている。ただ、基本的には6月から続くボックス圏内での動きであり、特に積極的に仕掛けるような動きは鈍い。ユーロ/円も方向性欠いており、特にポンド相場で大きく仕掛けるような動きは見られなかった。
7月9日に発表された5月の英製造業生産は前月比-0.8%となり、市場予測+0.4%に完全に逆行する結果になった。5月鉱工業生産指数も前月比変わらず、4月分に関しては-0.1%に下方修正されており、英景気の緩やかな回復傾向が確認されるとの楽観的な見方が裏切られる形になっている。各種金融機関などは英経済見通しの上方修正に踏み切る動きを強めているが、潜在的な英成長率はマーケットの想定を下回っている可能性を示唆している。これを受けて直ちに追加緩和が必要といった議論にはならないものの、ポンド相場は上昇の機会を一つ失った形になっている。
一方、7月10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公開とバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を受けて、円相場が急反発している。一応は、早期の債券購入縮小見通しが後退した影響が指摘されているが、いずれにしても年後半の政策変更の流れに変化はなく、やや違和感のある値動きに成っている。これまでの急激な円安に対する修正圧力が、必要以上に円高圧力を増幅させたというのが実情だろう。継続的な円高圧力に発展する可能性は低く、ポンド/円相場は引き続き底固く推移するとみている。
今後1週間の予想レンジは、148.00~153.00円。