5日の為替相場は、フランス国債入札が低調と受け取られ、同国の格下げへの警戒感を高めた一方、本日発表される米12月NFPが前回よりも雇用情勢が改善していることを示す結果になるとの見方から、ユーロがドルに対して一時1.2771という2010年9月以来最も低い水準まで下落しました。
昨日の記事でも書かせていただきましたが、フランスの国債入札は最大目標額の80億EURをわずかに下回り、10年債の平均落札利回りが前回よりも上回ったことを受けて、ユーロが急落し、円に対して98.50円まで下落しました。
また、昨日の記事でも書かせていただきましたが、中国人民銀行(PBOC)国際銀行間決済システムを改善し、今年の中盤には施行されることが見込まれています。
この動きは、中国政府の人民元の国際化の一環と考えられます。人民元の国際化や切り上げは、円に上向きの圧力をかけやすい傾向があります。
また、今週、インド政府も、株安とルピー安に歯止めをかけるために、それまで機関投資家だけが可能だった外国人個人投資家も同国の株式購入を容認する方針を示しています。
このようにアジア通貨が上昇しやすい地合いは、円が買われやすく、タイミング的に、ユーロそのものが下落したというよりも、円が買われやすい地合いであったこともユーロ円の下落→EURUSDの下落につながったのかなぁ、とも考えています。
この辺は、円が買われたのか、ユーロが売られたのかの判断で、今後の相場の見通しが変わってきますが、
3日に行われた独国債入札も順調に終わり、ユーロ圏の2大大国の国債入札が無事に終わったことは、ユーロをこれまでのような急激なペースで下落する可能性は少ないと考えています。
ただ、米格付け会社のS&Pをはじめとした格付け会社が、早ければ今週中に、ユーロ圏諸国の格付けを引き下げる可能性があることから神経質になっていることが考えれられ、このことは、このことは、投機筋がユーロの下値を狙う良い材料になる恐れはあります。
一方、ギリシャとトロイカ(EU、IMF、ECB)の代表と、1300億EUR規模の第2次支援策の協議が再開することが予定されていますが、この交渉が不調に終わった場合、ユーロ圏からの離脱の可能性があることへの警戒感があります。
また、ギリシャ債を保有する民間投資家に求めるヘアカット(債務元本の削減)の協議が継続しています。
スペイン政府は、同国の金融セクターは、不良資産に対処するために更に500億EURの増資が必要になるとの見通しを示し、スペイン株式相場を下落させました。
イタリアとスペインの10年債利回りは、再び7%を超える水準で推移しました。
5日に発表されたユーロ圏10月鉱工業新規受注が前回同様の前年比+1.6%となったものの、予想された3.3%を下回る結果となり、ユーロ圏の債務危機の実体経済への悪影響も懸念されます。
一方、5日に発表された米12月ADP雇用統計は、前回の20.4万人、予想された17.5万人を上回る32.5万人となり、新規失業保険申請件数は前回の38.7万件、予想された37.5万件を下回る37.2万件となりました。
また、米12月ISM非製造業景況指数は、予想された53.0を下回るものの、前回の52.0を上回る52.6となりました。
本日発表される米12月NFPは、前回のの12.0万人増から改善した15.0万人増が予想されていることへの期待がドル買い圧力を強めています。
しかしながら、予想を下回る結果は、一転してドル売り圧力を強める可能性があることには注意が必要ですね。
また、予想以上の好結果は、株式相場のポジティブ材料となり、ユーロが反発する可能性がありそうです。
ところで、ハンガリーでは、5日に行われた12カ月物国債入札で札割れという事態に陥り、利回りも10%付近まで上昇し、フォリントがEURに対して急落したことなどを受けて、ハンガリー政府は、EU/IMFの融資し条件について協議する用意があり、迅速な合意を目指す方針を示しました。
ドルインデックスは、前日比1.01%高の80.94で引けました。
米株式相場は、5日に発表された米経済指標の堅調さよりも欧州の金融機関への懸念が再燃し、軟調に推移しました。
NYダウは前日比0.02%安の12415.70、S&P500は同0.29%高の1281.06、ナスダック総合株価指数は同0.81%高の2669.86で引けました。
米国債券相場は、欧州債務危機への懸念の再燃が下支えたものの、5日に発表された一連の米経済指標が堅調だったことがネガティブ材料となり下落しました。
米10年債利回りは、前日比1.00%高の2.02%で引けました。