-
先週は株式市場で反発がみられたが、2022年上半期は1970年以来最悪の状況
-
トレーダー心理は、短期的な期待派と長期的な弱気派に分かれている状態
今週は、投資家が楽観派と悲観派の2つに分断されるかもしれない。楽観派は、先週の各株式市場の上昇(S&P500が5%、ダウ工業株30種平均が4%、Russell 2000が7%、NASDAQが8%)を受けて、今後も市場の回復に期待するだろう。
しかし悲観論者は、米国の主要株価指数が過去半世紀以上を遡っても、最悪の上半期となったという事実に注目し続けるだろう。SPXは2022年に入ってからほぼ18%値を下げ、ダウは同期間に13%下落した。ハイテク株の多いNASDAQ 100は年初から25.6%、小型株のラッセル2000は21.4%それぞれ低下している。
先週の記事では、長らく低迷していた株式市場が短期的に回復する可能性があると予想した。その結果はどうなったか、そしてテクニカルは次に何を示唆するのか、この記事でみていきたい。
S&P500はチャネ・ルボトムに跳ね返された。同指数は週次ではトップで取引を終えたものの、過去5週のうち4週の安値に抵抗があることが判明した。これらの供給ポケットを乗り越えられないことから、反発が終了する公算が大きくなっている。
また、フォーリング・チャネルの上限に近づくと、売り方の圧力が強まる可能性がある。それでも、指標は売られ過ぎの状態になる前に上昇する余地があり、記録的なピークからの元の下降トレンドラインを目指している。
いずれにせよ、株式市場に関して確かなことは、ボラティリティが継続するということだ。
今、株式市場が暴落することは、投資家にとって特に問題となる可能性がある。一般的に、債券は株式の急落から投資家のポートフォリオを保護する役割を担っている。
しかし、米国債をはじめとする債券は、現在より良いリターンを提供しているとは言えない。バンガードのトータル・ボンド・マーケット・インデックス・ファンドETFシェア (NASDAQ:BND) は、2007年4月の開始以来最悪のパフォーマンスを記録し、年初来で11.7%の下落しているのだ。
2008年以来の水準に達した債券インデックス・ファンドは、まだ下落する余地があるのだろうか。
この疑問は、今週の投資家のマインドに帰結する。先週の反発を「コップの半分が埋まった」と受け止め、さらなる上昇の原動力とする投資家はいるのだろうか。弱気相場は急騰した後、急落することが通例であり、弱気派、強気派を問わず、フラストレーションがたまる。
あるいは、過去10年半に及ぶ金融緩和策の後、40年来で最悪のインフレとなったことを受けて、FRBの引き締め策の継続に投資家は注目し続けるかもしれない。さらに、100年以上ぶりの世界的なパンデミックや、ロシアのウクライナ侵略戦争が世界の食糧供給を圧迫していることなど、多くの逆風はまだ消えていない。
少なくとも短期的には、先週の相場上昇を強気で維持する一つの原動力は、機関投資家が記録的な現金残高を引き出して株式への配分を目標に沿うように戻す、四半期末のリバランスである。
JPMorganによると、ポートフォリオ・リバランスは今週7%株式を押し上げる可能性があるという。そのシナリオが実現すれば、S&P500は5月の高値に戻るかもしれない。
ベンチマークとなっている米国10年債利回りを含む米国債利回りは低下している。
これは、先週の異様に長いアッパー・シャドウを持つ弱気なシューティング・スターを裏付けるものである。一方、5月に50週移動平均が200週移動平均を上抜き、2017年10月以来の週次ゴールデン・クロスを誘発した。当時、利回りは翌年には50%近く上昇する展開となった。
しかし、この両義性はMACD(移動平均収束拡散手法)とROC(Rate Of Change)に反映されていることがわかる。MACDでは短期移動平均が長期週移動平均を試し、ROCでは指標は上昇トレンド・ラインを試している。
先週は、ドルが下落し、利回りに追随した。
ベース金利と同様に、ドルも2週間前に反転の可能性を高める高波動ローソクを展開した。先週の赤いローソク足がハイウェーブ・キャンドルの弱気な性質を確認した。また、利回り同様、前月の移動平均線は週足でゴールデン・クロスを起こし、短期移動平均は長期移動平均に追随した。しかし、米ドルのROCは下落の余地があることを示している。
金は2週連続で下落した。
金はシンメトリカル・トライアングルの底に近づいており、今後は上昇基調に入るかもしれない。2011年にみられた過去の最高値水準では強気筋と弱気筋がいずれも方向感をつかめない局面があった。
2020年以来初めて1万8000ドルを割ったビットコインは足場をみつけ、2万ドルに回復した。
時価総額最大の暗号資産であるビットコインは、継続パターンを展開している可能性があり、これはマッシブ・トップを完了したことに対応するもので、これらのパターンはいずれも1万ドル以下のレベルをターゲットとしている。しかし、ボラティリティの高いビットコインは、スモール・パターンのブレイクアウトからマッシブ・トップが示唆する1万2500ドル、そして1万ドル割れまで下落するという通常予想されるトレンドに従うかどうかは不明である。
先週、原油は、前週の強力な週次イブニング・スター完成の圧力を受け、じり高となった。
3本のローソク足のパターンは、2つの理由で特に強力である。まず、3本目の最後のローソク足が、それまでの強気な動きを反転させ、1週間だけでなく3週間分の利益を消したこと。次に、3月の供給量の抵抗を確認したことだ。
一方、弱気筋はすでに強気トライアングルを完成させた強気筋と意見が分かれるところだ。
今週の予定
時間はいずれも米国東部時間で記載
月曜日
8:30: 米国 – コア耐久財受注:0.4%から0.3%への低下を予想
10:00: 米国 – 5月住宅販売保留指数(前月比): -3.9%から-4.0%への低下を予想
火曜日
4:30: ユーロ圏 – 欧州中央銀行のラガルド総裁、発言
10:00: 米国 – CB消費者信頼感指数: 106.4から100.9への低下を予想
21:30: 豪州 – 小売売上高: 0.9%から0.4%への低下を予想
水曜日
8:30: 米国 – GDP: -1.5%での横ばいを予想
9:30: 英国 – イングランド銀行ベイリー総裁、発言
9:30: 米国 – FRBパウエル議長、発言
10:30: 米国 – 原油在庫: 前回は1.956Mバレル
21:30: 中国 – 製造業PMI: 49.6から48.6への低下を予想
木曜日
2:00: 英国 – GDP: 前年比8.7%の横ばい、{{ecl-121|前四半期比}0.8%を予想
3:55: ドイツ – 失業者数: -4000人から-6000人への低下を予想
8:30: 米国 – 新規失業保険申請件数: 229千件から227千件への低下を予想
8:30: カナダ – GDP: 前月比0.7%から0.3%への低下を予想
19:50: 日本 – 日銀短観 非製造業指数: 9から14への上昇を予想
21:45: 中国 – Caixin製造業PMI: 前回は48.1
金曜日
3:55: ドイツ – 製造業PMI: 52.0での横ばい予想.
5:00: ユーロ圏 – 消費者物価指数I: 前年比8.1%から8.3%への上昇を予想
10:00: 米国 – ISM 製造業PMI: 55.0への低下を予想