突如として、全てのセクターから悪いニュースが報じられた。テクノロジー株は下落を続け、石油株も大幅な下落で先週の取引を終えた。これは、米国史上最長だった強気市場の終焉かもしれない。
米国株式市場では9月のピーク以来、約3兆ドルもの時価総額が吹き飛び、投資家は2019年の株式市場がどのようになるのか困惑している。トレンドを上回る経済成長、減税、自社株買い、好業績などの好材料もあったが、マクロ環境は悪化しており、これらは深刻な不確実性を投資家にもたらしている。
米中貿易摩擦の早急な解決と、インフレ圧力の収束が見えない限り、株式市場は低調なままであろう。来週はブラックフライデーの売上の公表が予定されているので、投資家は米国小売業の健全性について知ることができるだろう。
原油価格は下落を続け、いくつかの大手石油企業に売り圧力がかかるかもしれない。以下が今週のトレードで注目すべき3銘柄だ。
1.アマゾン(Amazon)
世界最大手のEコマース業者アマゾンドットコム(NASDAQ:AMZN)は、ブラックフライデーの恩恵を強く受けるだろう。全米小売業協会(NRF)は、木曜日から月曜日までのサンクスギビングデーの間、1億6千4百万人の米国人が買い物をすることを予測している。
NRFによると、11月、12月のオンラインと実店舗の売上高は、前年同期比4.8%上昇し7208.9億ドルになると予想されている。昨年の5.3%の上昇ほどではないが、過去5年間の平均である3.9%よりは高い数値である。
この数値は米国の消費性向が依然として高く、弱気な株式市場の影響がまだ消費者に及んでいないことを示す。アマゾンは「今年のブラックフライデーは、注文数で既に昨年を上回る勢いである」と述べた。また、「ブラックフライデーの最初の9時間で、100万個以上の玩具が注文され、70万着以上のファッションアイテムが注文された」とも述べた。
2.ウォルマート(Walmart)
世界最大手の実店舗小売業者ウォルマート(NYSE:WMT)は、米国の消費者と小売業の健全性について知るために注目すべきである。ブラックフライデーの堅調な売上は、消費者の支出が依然として高い水準であることを裏付けるだろう。これは、2019年2月中旬に発表される大型小売店の第4四半期決算に反映されると考えられる。
ウォルマート株は過去3ヶ月間でS&P 500の中で良いパフォーマンスであったが、これは低迷する市場の中で避難先になっていたためだ。ウォルマートにとって最大の課題は、実店舗まで足を運びたくない顧客を囲い込むために、オンライン売上を拡大し続けることである。
ウォルマートの 第3四半期決算では、オンライン売上高が前年同期比43%上昇しており、オンライン戦略の成功を示している。投資家はブラックフライデーにおけるオンライン売上高の減速を望んでいない。オンラインの不振は、ウォルマートの米国での成長性とインドの大手Eコマース業者フリップカートの買収に疑問を抱かせるだろう。
3.エクソンモービル(ExxonMobil)
過去1か月間の原油価格の下落に伴い、石油メジャーは下落圧力に晒されている。金曜日、WTI原油先物価格は6%以上下落し、今年の最低水準である1バレル51.03ドルになった。
先週に原油価格が4%以上下落したことを受けて、米国石油メジャー最大手エクソンモービル(NYSE:XOM)は、さらなる株価下落の恐れがある。原油価格が続落する場合、全ての石油株にとって重荷となるだろう。
11月30日に始まるアルゼンチンの首都ブエノスアイレスでのG20サミットに先立ち、投資家が原油市場の方向性を明確にすることはまずないだろう。一方、12月6日のOPECと非OPEC産油国のウィーンでの会合によって明確になっていくだろう。