長期保有の投資家は資産の蓄積や退職後の収入源を増やしたいと考えているだろう。そういった点で、配当は重要な投資戦略の一つである。企業の増益によって株価を急上昇させることが目標である成長株投資とは違って、配当成長株を狙う投資家は「企業が毎年増配を行い続けることができるのか」という企業への信頼感に焦点を当てている。
簡単な計算例: あなたは1株あたり20ドルの株式を一株買い、1ドルの年間配当を受け取ることとしよう。その場合、初期投資に対する年間利回りは5%となる。だがその企業が配当を1.50ドルへ増配した場合、20ドルの初期投資より利回りは7.5%となる。もし毎年増配を続け、2ドルに増配させた場合、利回りは10%まで跳ね上がる。
配当成長株への投資は、時間の経過とともに収益率を上げる素晴らしい手法であると考えられており、定期的に一定額の増配を行う企業への投資を我々は推奨している。一般的に、こういった企業は成熟した安定的なビジネスを行っており、長期的な理念のもとに経営を行っている。そのため、会社への評判や投資家への還元に気を使っている。
定期的な配当からは企業の将来を予測できる数多くのことがわかる。だが、これでは損失に関して一切考慮しておらず、あまりプロフェッショナルな投資とは言えないだろう。たとえ企業が増配を行おうとしても、キャッシュフロー不足に陥ることで数ヶ月後には配当をやめる可能性もある。
我々が強い増配株と考える株式は、以下の2つである。
1. ホームデポ (Home Depot)
ホームデポ(Home Depot) (NYSE:HD)は米国最大のホームセンターである。昨日169.82ドルの終値となった同株は、現在52週間での安値圏で取引されている。同株2.44%の配当利回りは魅力的と感じられないかもしれないが、同社が過去10年間で行ってきた数々の増配を考えると、配当成長株への投資としては魅力的である。
ホームデポは過去29年間配当を行ってきており、10年間での増配率は350%を超える。現在の四半期配当額は1株1.03ドルとなっており、10年前の0.225ドルから大幅に増加した。
そして、同社はオンライン売上を伸ばしており、急成長を下支えしている。配当性向は50%以下であるため、今後の継続的な増配も期待できる。
2. P&G(プロクターアンドギャンブル)
生活必需品メーカー大手、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble) (NYSE:PG)も同様に、コンスタントに増配を続けているため、長期保有目的のポートフォリオに適した株といえる。P&G株は昨日91.94ドルの終値を付け、利回りは3.1%となっている。同株は60年間連続で増配を行っており、世界でも有数の増配実績となっている。
継続的な増配は、同社が強いキャッシュフローを生み出していることを表す。過去の戦争や不況、市場低迷期の中で、同社はオムツのパンパース(Pampers)、洗剤のタイド(Tide)、トイレットペーパーのシャーミン(Charmin)といった世界的に認知されている事業ブランドを作り上げてきた。こういった強力な事業ポートフォリオの存在により、収益成長は十分維持できると考えられる。同株の配当性向は67.67%と、投資家への株主還元としては良好な数値である。過去10年間で年間配当額は1株2.87ドルへと倍増した。
要点
配当成長株の保有は、長期保有投資戦略において重要な要素である。経済ショックへのリスクヘッジを行える一方で、継続的な増配によって資産拡大へとつながるからである。我々はホームデポとP&G株への投資が最適だと考える。