現在の天然ガスは割安感があるが、米国の電力会社が石炭から転換するほどだろうか。
25日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した天然ガス貯蔵量は、920億立方フィートとなり大きく積み上がっている。
また、天然ガスは記録的な生産高となっている一方で、暖春により需要は減少している。
暖房使用がピークを迎える11月以降、ニューヨーク商品取引所の天然ガス先物価格は12月に36%下落し、年初来では15%安となっている。
天然ガスは先週、100万英熱量当たり2.478ドルまで下落し、現在は2.51ドル付近で取引されている。インベスティング・ドットコムのテクニカルサマリーでは日足で「強い売り」となっており、2.406ドルまで下落する可能性を示している。
天然ガスは今後さらに下落する可能性があり、夏の冷房需要が高まる5月末には電力会社が高価な石炭から天然ガスへ転換することを一部のアナリストは予想している。
天然ガスへの転換が勢いを増すことで、一か月後には下落基調から回復する可能性がある。
ICAP社(LON:NXGN)のエネルギー先物ブローカーであるScott Shelton氏は、商品投資顧問業者(CTA)やヘッジファンドが強気に転じ、天然ガスが上昇へ向かうと考えている。
「私は天然ガスがあまりに安すぎると考えている。先週のEIAのレポート以降でCTAが75000ロット売却していたとしても何も驚かない」
「石炭から天然ガスへの転換によって天然ガスの需給のリバランスが起こり、予想外の上昇となるだろう」
Energy Management Institute 社のディレクターであるDominick Chirichella氏も同様の考えだ。
「大半の国で温暖化が進むと考えられており、天然ガスは短期的な底値へ近づいているのかもしれない」
「今週末は米国北部の大部分で通常よりも涼しい気候となる見通しである。涼しい気候は数日間続く一方、南部では通常よりも温暖な気候が続くことが予想されている」
先週は通常よりも温暖な気候であった。先週の暖房度日が62度日であったのに対し、30年間の平均では73度日となった。
暖房度日とは、暖房に必要な熱量を計算する際に用いられる指標である。
Gelber & Associates社のガスアナリストであるKent Bayazitoglu社は、今週以降の天然ガス貯蔵量は、天候が次第に暖かくなるにつれて1000億立方フィートを超える可能性があると述べた。
「天気予想では、南東部では温暖な気温となる一方、ロッキー山脈の一部では積雪が予想されており、天然ガスへの需要が高まることが示唆されている」
しかし、同氏はすぐに価格が上昇するとは予想していない。「天候はガス貯蔵量のアンバランスを緩和するのに十分ではない」と述べた。