2020年4月は世界経済にとって最悪の月となる可能性がある。世界中でロックダウンが実施され、国民は家に留まっている。各国の中央銀行は、4月失業率が2桁台まで悪化すると見込んでいる。しかし、各国の積極的な景気刺激策を受け、金融市場にとって4月はそれほど悪い月ではなかった。実際、ダウ平均株価は2月と3月に急落した後、約15%以上上昇している。米ドルは4月、ユーロとスイスフランに対して上昇した一方、豪ドルやNZドルなどの主要通貨に対して下落した。
中央銀行は消費者や企業に対する支援策を打ち出している。米連邦準備理事会(FRB)は30日、一般企業向けの融資制度を拡大すると発表した。この発表の背景には、個人所得と個人支出の急減や予想上回る新規失業保険申請件数がある。軟調な経済指標やFRBによる景気刺激策をよそに、米ドル/日本円は急伸した。
欧州中央銀行(ECB)は30日、市中銀行への長期資金供給の際に適用する金利はマイナス1%に引き下げるほか、新たにパンデミック緊急長期資金供給オペ(PELTRO)を行うとした。また、ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模拡大を明らかにした。これらの措置は、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁が、今年の欧州経済は12%縮小、第2四半期には15%縮小になるとの懸念に対応したものである。ラガルド総裁は、景気回復のスピードや規模は不確実性が高く、「可能な限りのことを行うと全面的に約束している」とした。ユーロ圏第1四半期GDPは、予想通り3.8%減となった。ECB会合とラガルド氏の発言を受け、ユーロは売りが優勢となったが、その後反発した。
今週は日銀、FRB、ECBが金融政策発表を行った。各中央銀行は、今後の経済を厳しく見通している。また、各中銀は景気後退を相殺するための措置を講じただけでなく、さらに多くの措置を講じることを約束している。
他方、NZドルが上昇した一方、カナダドルと豪ドルは小幅安となった。NZドルは、ANZ企業景況感指数が好感された。中国PMIは、非製造業PMIが改善し一方、製造業PMIが悪化した。カナダ2月GDPは、0.1%増の予想を下回った。オーストラリアでは目立った経済指標は発表されなかったが、NY取引時間で豪ドルは大きく値を下げた。