世界中で製造業購買担当者指数が予想を上回り、世界の成長率に対する予想が押し上げられたため、月曜日にはリスク選好が回復した。特に、新興市場通貨ではその回復が顕著で、その多くは対USDで、最近のトレンドとは逆に、上昇した。アジアの株式市場が、2日連続で上げたため、G10通貨では、AUDとNZDが上昇し、USD/JPYは、日本株と共にいつもどおり上昇した。
このようにリスクテイク性向が回復するなか、欧州では、ついにEUR/USDが1.31のハードルでこの日をスタートし、34取引日連続で始値となった1.32または1.33で終わった。EUR/USDは依然として取引レンジ内に留まっているが、昨日発表されたPMIが全般的に良好であったことを考えれば、小幅な下方突破も重要である。EU全体としては、上方修正され(51.3から51.4へ)、ギリシャとスペインも改善し、スペインはついに50のラインを上回って51.1を記録した。欧州におけるこうした明らかな回復の(あるいは少なくとも安定を示す)兆候にも拘わらず、EUR/USDは低下する可能性があり、米国が休日で閉場であることから、USDにとって非常に前向きなセンチメントが伺える。今週の金曜日の非農業部門雇用者数が予想どおりとなれば、FRBは量的緩和の縮小を今月の会議で開始するとみられることから、USD高が続き、その他のG10通貨にも波及すると考えられる。イングランド銀行は、予想よりも早い金融引締めが行われるのではないかとの市場の憶測に対抗する可能性が高いため、私の見解では、GBPは特に脆弱であると考えられる(ただし、テクニカル的には、GBPがさらに強含むと予想される;テクニカルセクションを参照のこと)。一方、ブルームバーグの通貨ストラテジストの投票では、G10通貨の中ではCHFが最も推奨されるショートに挙げられている。その理由は、CHFがEURからの資金流出によって恩恵を受けており、ユーロ圏の情勢が安定するにつれて、CHFへの上昇圧力は弱まるとみられ、CHFは下落すると考えられるからである。これは確かに起こり得ることではあるが、特に9月末のドイツの選挙後はEURが弱含むとみられることから、EUR/CHFにはほとんど下げ余地がないと考えられる。
本日の大きなニュースは、既に発表されている。オーストラリア準備銀行(RBA)がオーバーナイトのキャッシュレートを2.5%で据え置いた。RBAによるこの決定に伴う声明が、一層の緩和余地に対する言及を避けたことから、この決定後にAUDは上昇した。英国の8月の建設業PMIは、0.1の若干の低下により56.9となることが予想される。Eurostatは、ユーロ圏のPPIのデータを発表する予定で、前月には変わらずとなった同指数は、前月比0.1%の上昇を示すと予想されるが、これは、通常、市場に影響を及ぼすものではない。この日の遅い時間には、米国の8月のISM製造業指数が発表される予定で、55.4から54.0への低下が予想され、その他の国々で見られた改善とは対照的な結果となり、多少USD安の原因となる可能性がある。オーバーナイトでの焦点は、オーストラリアの第2四半期のGDPになるとみられ、同国の景気は3四半期連続で、前四半期比0.6%の拡大を示すと予想される。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは若干低下し、1.3152(S1)と1.3231(R1)の間の水準に留まった。現在ショート・ホルダーは、1.3152(S1)のサポートに向けて動いており、この水準を明らかに下方突破すれば、次のサポートである1.3077(S2)を目指すことになるだろう。その上、20期間移動平均が200期間移動平均を下回っており、MACDの数値も弱気な領域にとどまっていることから、同ペアに対する弱気な様相が伺える。
• サポート:サポートは、1.3152(S1)水準に見出され、1.3077(S2)と心理的水準である1.3000(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、1.3231(R1)に存在し、心理的水準である1.3300(R2)と1.3400(R3)がこれに続くだろう。
USD/JPY
• 昨日、USD/JPYは顕著に上昇し、99.13(S1)(昨日のレジスタンス)を容易に上方突破し、右肩上がりのチャネルの上限に達した。強気筋は現在、切りの良い数字である心理的水準100.00(R1)を目標に据えつつあり、これを突破することができれば、100.84(R2)に向けた動きの引き金となるだろう。しかし、RSIもストキャスティック・オシレータも、買われ過ぎの領域にあるため、近い将来戻しが生じても不思議ではないだろう。より長期的(日足チャート)には、シメトリカル・トライアングルの上辺を脱し、同ペアの強気な趨勢の有意性が強まった。
• サポート:サポート水準は99.13(S1)に存在し、98.09(S2)と心理的水準で
ある97.00(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、切りの良い数字である100.00(R1)に存在し、100.84(R2)と101.52(R3)がこれに続くだろう。
EUR/GBP
• 昨日、EUR/GBPは続落となり、0.8503(R1)を下方突破した。現在同ペアは0.8480(S1)のサポート水準を試しつつあり、弱気筋が圧力を掛け続ければ、同ペアは、短期的な安値を更新する方向へと向かうだろう。その上、MACDオシレーターの数値がマイナスであり、トリガーラインを下回っており、移動平均の弱気なクロスを伴っていることから、同レートの下落趨勢が伺える。
• サポート:短期的に認められる唯一のサポート水準は、0.8480(S1)であり、0.8437(S2)と0.8410(S3)がこれに続き、これらは日足チャートに見出される。
• レジスタンス:レジスタンスは、0.8503(R1)に認められ、0.8545(R2)と0.8577(R3)がこれに続くだろう。
金
• 昨日、金は横ばいとなり、わずかに変動し、1394(R1)水準を下回る水準での攻防となった。このレジスタンスの上方突破に明らかに失敗すれば、同価格は1376(S1)と1347(S2)に向けて推移するだろう。8月9日以来強気な状況にあったが、現在は、MACDオシレーターが、トリガーラインを下回る弱気な領域にある点には注意を要する。価格は、依然としてトレンドラインと200期間移動平均を上回っていることから、当社は、差し当たり、この下落の動きは金の短期的な調整であるとみている。
• サポート:サポート水準は、1376(S1)に存在し、1347(S2)と1320(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス:レジスタンスが1394(R1)に認められ、1422(R2)と1440(R3)がこれに続くだろう。
原油
• 昨日、WTIは横ばいとなり、105.50(S1)と107.53(R1)の間の水準に留まっている。WTIは、102.62(S3)と108.85(R2)の間の取引レンジ内に留まっている。先週、この水準からの脱出に失敗していることから、次の取引の方向性を見極めるためには、この領域を明らかに脱することを確認すべきだろう。
• サポート:サポート水準は、105.50(S1)、103.44(S2)、102.62(S3)に存在する。
• レジスタンス:レジスタンス水準は、107.53(R1)に存在し、108.85(R2)と112.14(R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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