昨日、USDは、ほぼ全ての通貨に対して下げて始まった後、日中に反発し、欧州時間の火曜日には大半の通貨に対して24時間前よりは若干上げて始まった。これは、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数が、予想の9.10に対し6.2と、期待外れの結果となったにも拘わらず、生じた出来事である。この指数がUSDに対するさらなる下落材料となったが、米国の8月の鉱工業生産指数が前月比+0.4%の予想と一致する結果となったことを受け、下げ幅の一部を回復した。ジャネット・イエレン氏が、FRB議長の席に不戦勝で就任するかどうかについては、多くの投資家が確信を持てずにいるようだ。前イスラエル中央銀行総裁のスタンレー・フィッシャー氏がFRBの議長に立候補するという者もいる。10年物米国債利回りは、一時2.78%まで下落したが、2.86%でその日を終えた。一方、一時11bp上昇していたFFレート先物は、「ノー・サマーズ」ラリーが勢いを失ったため、終了までにはピークから4bp下落した。
USDは、さらに下落幅の一部を取り戻すことができるかもしれないが、FRBの政策が流動的であるため、おそらく金融政策格差をテーマとした取引を行うのが得策だろう。NZD/JPYのロング、AUD/JPYのロング、AUD/NZのショート、EUR/GBP、EUR/NOK、EUR/SEKのショートである・・・これらは、USDを含まない政策格差を利用した取引方法である。オーストラリア準備銀行の最近の政策会議の議事録が昨晩発表されたが、さらに緩和する権利を保持するオーストラリアと、引締めバイアスに既にシフトしたニュージーランドの政策の違いを裏付けたに過ぎない。CNBCゲストブログ「Trading the Fed taper: avoid the dollar”(「FRBの金融緩和縮小に向けたUSDを避けた取引」)における私の記事を参照していただきたい。
本日の指標は、9月のZEW景況指数などであり、現況指数、予想指数共に、上昇すると予想される。ドイツがユーロ圏の典型例に全く当てはまらないことは言うまでもないが、それを除いては、この結果が、EURにプラス材料となる可能性はある。英国では、イングランド銀行のインフレターゲットであるEU統一CPIは、7月の前年比2.8%から若干鈍化して2.7%を示すと予想される。これは、同行の勝利になるとみられ、インフレ率が2ヵ月続けて彼らの目標である2.5%まで鈍化しているため、おそらくGBPに対してプラスに働くだろう。米国では、8月の総合CPIおよびコアCPIが共に前月比+0.2%と、7月と同程度の上昇が予想され、FRBにとって何ら問題のない数字を示すだろう。また、9月の全米住宅建築協会指数は、59から58へとわずかに下落すると予想される。しかし、最近の急激な上昇を考えれば、1ポイントか2ポイントの下落があったとしても不思議ではなく、期待外れの結果とは言えないだろう。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、日中下落し、昨日のオープニング・ギャップをカバーした。同ペアは、依然として短期的には右肩上がりのチャネル内にあり、現在、1.3322(S1)のサポート水準を試しつつある。この水準を明らかに下方突破すれば、チャネルからの脱出が生じ、レートは次のサポートである1.3234(S2)へと向かうだろう。一方、反発が起これば、充分に試されたレジスタンスである1.3400(R1)を再び試すだろう。MACDがプラスの領域にあるにも拘わらず、トリガーを下方にクロスしており、一時的な価格動向の弱含みを裏付けている。
• サポートは、1.3322 (S1)水準に見出され、1.3234 (S2)と1.3188 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンス水準は、1.3400(R1)の重要な水準にあり、1.3448 (R2)と1.3517 (R3)がこれに続くだろう(日足チャート)。
USD/JPY
• USD/JPYは、上昇チャネルの下限で反発した後、上昇し、欧州時間の早朝には、99.13のバリアーをどうにか突破した。強気筋が引き続きレートを押し上げると予想されるため、最初のターゲットを100.00(R1)の心理的水準に設定し、この水準を明らかに突破すれば、レジスタンスでもありチャネルの上限でもある100.84(R2)に向けたさらなる動きが生じるだろう。長期的枠組み(日足チャート)では、価格は戻し、シメトリカル・トライアングルの上辺を試すことにどうにか成功し、さらなる上昇の動きの可能性が高まっている。
• サポート水準は、99.13 (S1)に存在し、98.09 (S2)と97.00(S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、心理的水準である100.00(R1)に認められ、100.84 (R2)と101.52 (R3)がこれに続くだろう。
GBP/USD
• GBP/USDは下落し、昨日のギャップのカバーを試みた。本原稿執筆現在において、同ペアは、1.5892(S1)のサポート水準を試しつつあり、これを下方突破すれば、次のサポート領域に向けた新たな調整局面の最初の兆候になる可能性がある。MACDオシレーターが、プラス領域にあるトリガーラインを再び下回ったため、同ペアの弱含みを支持している。しかし、価格が青色のトレンドラインと20期間移動平均と200期間移動平均の両方を上回って推移しているため、全体的なトレンドは依然として上昇トレンドにあるとみられる。
• サポート水準は、1.5892 (S1)、1.5840 (S2)、1.5716 (S3)に認められる。
• レジスタンスは、心理的水準である1.6000(R1)、1.6080 (R2)、1.6173 (R3)に見出され、最後の2つは日足チャートに見出される。
金
• 金は再び下落し、6月28日~8月28日の上昇局面の50%リトレースメント水準と一致する1305(S1)水準まで戻し、再び試している。欧州時間の早朝、金は、若干この水準を上回り、ロング保持者がこの水準を上回る水準に価格を維持できるほど強ければ、1347(R1)のレジスタンス障壁に向けて推移するだろう。MACDオシレーターの数値はゼロを下回っているが、このトリガーを上回っているため、価格に対する弱気な流れが続くことを示している。
• サポート水準は、1305 (S1)に存在し、1271(S2)と1245 (S3)がこれに続くだろう。
• レジスタンスは、1347 (R1)水準に認められ、1376 (R2)と1394 (R3)がこれに続くだろう。
原油
• WTIは下落し、106.71水準を下方突破し、4時間チャートに認められるシメトリカル・トライアングルの下辺をも下回った。弱気筋が現在価格を105.23(S1)のサポートに向けて推移させており、この水準を明らかに下方突破すれば、次のサポートである103.44(S2)に向けて推移することになるだろう。RSIが30水準を若干上回る水準にあり、下落を示唆するなか、MACDはマイナス領域にあるトリガーラインを下回っており、さらなる下落を示唆している。
• サポート水準は、105.23 (S1)、103.44 (S2)、102.62 (S3)に存在する。
• レジスタンス水準は、106.71(R1)にあり、108.85 (R2)と110.58 (R3)がこれに続くだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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