現在フェイスブック (NASDAQ:FB)、アップル (NASDAQ:AAPL)、ネットフリックス (NASDAQ:NFLX)などの銘柄がハイテク市場をけん引している。中でもフェイスブックは、規制調査、罰金、不信など続く逆風が吹く中でも株価は堅調に上昇している。
2018年、フェイスブックは個人情報の流出、プライバシーの懸念、政治操作などの悪材料を受け、26%も下落した。しかし今年、同社株は年初来で40%以上上昇しており、3日には182.39ドルで終値を迎えている。
昨年夏に記録した最高値から約14%下落してはいるものの、同社の力強い回復は、かつて予想されていた悲観的なシナリオを裏切るものである。第2四半期(4-6月期)決算では、売上高が28%上昇し、コンセンサス予想を上回る結果を見せた。
しかしフェイスブックを取り巻く問題が今後なくなるとは限らない。同社のCFOは7月、今まで通り広告収入を得るのは難しくなるため、フェイスブックの収益の減少は来年以降も続く可能性があると警鐘を鳴らしている。
政治家や規制当局が個人情報の悪用を防ぐためのルールを定める中で、規制当局による監視や独占禁止法の調査が同社の成長にとって足かせとなることは確かである。しかしことフェイスブックについては、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏の手腕に期待する声が高まっている。
フェイスブックについて楽観論が高まっている理由は以下の2つである。
1.ユーザー数の増加
ソーシャルメディアを測る主要な指標の1つにユーザー数がある。フェイスブックアプリの基盤である北米や欧州におけるユーザー数の増加は、過去数期にわたり停滞している。一方で、メッセンジャーアプリなどを含む同社のSNSのデイリーユーザー数は、第2四半期に前年比8%の上昇となる16億人に上昇している。主力であるフェイスブックアプリの成長こそ減速したものの、同社の他コンテンツは以前として好調だ。毎月計27億人が同社のいずれかのアプリを使用しており、同社が世界最大のソーシャルメディアであることに疑いはない。
2.新規コンテンツの台頭
もう1つの好材料は、同社が様々な基盤を用いて、計27億人のユーザーから広告収入を上げることができているということである。同社の主な成長分野はストーリー機能だ。これは24時間で自動消滅する動画投稿機能であり、その日の出来事を時間限定付きでシェアするコンセプトが若者の間で人気を博している。
また同社のeコマース企業への転換も将来的に大きな収益を上げる可能性がある。例えばインスタグラムは広告だけでなくeコマースプラットフォームを提供しており、今後同社にとって更なる基幹コンテンツとなってくるだろう。
広告収入ビジネスにおける減速を鑑み、フェイスブックは決済やeコマースなど新たな分野への進出を始めている。ザッカーバーグ氏は、フェイスブックユーザーは大規模なネットワークとリンクしているため、今後はユーザーがそのネットワークを利用して価値創出をできるようにしたいと述べている。
フェイスブックは6月、同社のビデオオンデマンドサービスであるウォッチが世界的出版社と提携し、今後更なる拡大を図る予定だと述べた。ドイツ銀行のアナリストは、2021年にはウォッチが50億ドルの売上を上げられるとしている。
これらの成長策は同社の仮想通貨であるリブラの発行計画と並行して進められる。6月の発表以来リブラは様々な議論を呼んでいるものの、フェイスブックはリブラ発行の意義について、世界中でより安価な決済や送金を可能とし、特に銀行業が未発達で自国通貨が不安定な国で最も役に立つとしている。
総括
今年の大きな反発の後、フェイスブックはボラティリティの高いハイテク市場を他銘柄を圧倒するパフォーマンスで乗り切っている。規制などの逆風は吹くものの、新事業への進出や更なる収益化を踏まえると、同社株は長期的に見て魅力的な銘柄だと言えるだろう。