トランプ米大統領が中国への貿易圧力を高め、インフレが加速し、新興市場の危機が伝染し、株式市場が神経質になり始めている。
米国が中国製品に2670億ドルの関税をかける準備ができているとトランプ大統領が発言した後、米国のすべての主要株価指数が、先週週足で下落となった。トランプ大統領はエアフォースワンの中で「政権が検討していた中国製品への2000億ドルの関税の準備はできている。中国の動き次第ですぐに実行するだろう」と述べた。さらに「やりたくはないが、もし私が望めば短期間でさらに2670憶ドルの関税をかける用意がある」と発言した。
これらマクロの脅威の影響は個々の株をゆっくりと下落させ、投資家は2つの世界的経済圏の間で本格的な貿易戦争が起こることを価格に織り込み始めた。世界で最も価値のある会社であるアップルは、中国製品への関税が彼らのビジネスを傷つけると公式な書簡で懸念を表明している。
アップル(Apple)が関税を懸念
アメリカ通商代表部への書簡の詳細がブルームバーグによって報道され、アップルは上昇していた1%が削られ、さらに約1%下落して金曜の取引を終えた。書簡には、2000憶ドルの中国製品に対する米政府の関税案は、アップルウオッチやエアポッドのような消費者に人気があるいくつかの製品価格の値上がりになると書かれていた。
書簡の中で「関税に対する我々の懸念は米国が最も打撃を受けることだ。結果的に米国の成長と競争力を弱め、消費者に価格高騰のしわ寄せがいく」と指摘した。ただし、関税が同社の収益性をどのように損なうかについては詳しく述べていない。
アップルは、第3四半期に中国で96億ドルの売上高を計上し、すべての収益の18%を占めた。トランプ大統領が関税を実施すれば、今週、アップルの株価がさらに下落する可能性がある。
アリババ(Alibaba)の馬会長が引退
テクノロジー分野で、来週注目のもう一つの株はアリババ(NYSE: BABA)だ。報道によると共同創業者であるジャック・マー会長が、早ければ月曜日に会長職を辞任する可能性があり、会社を去った後は教育への慈善活動に力を入れるとのこと。アリババ株はこのニュースの後、金曜日の営業時間外取引で1%以上下落し、過去12ヶ月間で約5%下落している。
会長に就いている間、彼は国内外で成長を支援した。 アナリストの平均予想によると、直近の四半期(4~6月)において、中国最大の電子商取引会社の売上高は、61%増の809億円元(118億ドル)となった。
今年の技術株の反発をすでに逃したアリババ株は、馬会長の退任と米中貿易戦争の激化によって、更なる下押し圧力が加わるだろう。
テスラ(Tesla)は悲惨さを増す
(NASDAQ:テスラ) は先週下落が続き、株主が救われる兆候はいまだない。
テスラの株式は、重役であるCAOの退任と、ポッドキャストのインタビュー中にイーロン・マスクCEOがマリファナを吸っているビデオによって、金曜日に9%も急落した。株式非公開への試みやマスク氏の発言やビデオなどによって、金曜日の市場終了時点で、株価は1週間で11%以上、月間で32%も下落した。
テスラの最高会計責任者(CAO)のデーブ・モートン氏が、金曜日にわずか1カ月で辞任したと発表があった。「8月6日にテスラへ入社して以来、会社の中もそうだが、外からの注目度が私の予想を上回った。結果的に、これは私に未来を再考させた」とモートン氏は声明で述べた。同社の人事担当責任者、Gaby Toledano氏も同社を辞任したことを、先週末の市場終了前にブルームバーグが報じた。
投資家は、嵐のような週に備えなければならないだろう。マスク氏が次に何か切り札を持っているのか、またそれがどんなに衝撃的で、投資家に影響を与えるのかを誰も正確には分からない。
それにもかかわらず、手に負えなくなってきている自ら招いた広報危機を止めようとする“買い”がテスラの板にあるはっきりとした兆候がある。