先週は、円高・円安でも東京金は下落すると話していましたが、思いのほか金相場は上昇しました。
先週月曜日は下落したものの、為替が108円前後から112円近くまで円安に大きく動き、一方でNY金があまり下落しなかった為、4400円を超えて一目均衡表の雲の中に入ってきました。
NY金は円安・ドル高になると下落する傾向にありますが、今回あまり下落しなかったのは、NY銀が大きく上昇したことにつれ高になった為です。
東京金は、戻りの目安4400円と見ていましたが、これを突破して想定以上の上昇になっています。
ただし、相場は行き過ぎがあるためこれは許容範囲で、目先は高値一杯と見ています。
毎週チェックしているNY金の投機筋の動向ですが、またさらに買いが増えました(オレンジの棒グラフ)。一方で減少していた売り(青の棒グラフ)がさらに減って、買い越し(緑の折れ線グラフ)が増加しています。
私は買い越しが500トンを超えたあたりから高値警戒をしてきましたが、これで買いに偏ったまま10週続いていることになります。
昨年末の売り過ぎの状況にあったときは下値警戒をしていきましたが、このときは売りに偏ったまま9週続いています。
10週も続いている要因としてあるのは、やはり米国の金融政策にあります。
3月はFOMCでハト寄りだったため、これが影響して買いポジションが長く維持されたままになっています。
今週はFOMCがあります。ポジションが偏った状況で迎える、この重要インベントには十分に気を付ける必要があります。
買いポジションに偏っているNY金は、高値警戒を維持で、下落に備える必要があるでしょう。
NY金は、雲に沿って上昇していましたが、週末はドル高の影響で雲の中に入ってきました。
チャート上では上値重い展開です。
東京金は上昇して一時は4400円を超えましたが、終値ベースでは維持できず基準線(赤線)に上値を抑えられている状況です。
転換線(青線)でサポートされるのか、一方で転換線を割れると4300円割れがあると見ておきましょう。
私は今週のFOMCを受けて4300円を割れてくると見ています。
いま話題のコモディティ話
さて、今回はいま市場で話題になっていることについてご案内したいと思います。
金より白金に注目!?
金と白金の関係に中長期的な変化が生じてきています。
こちらは東京金と白金の価格差2014年5月からの一目均衡表チャートですが、これまで相場は雲にサポートされて上昇してきました。
相場が下落しても雲の上限や下限で下値を維持して反発に転じてきたのが良くわかります。
しかし、今月に入り状況が一変してきました。
4月より雲の中に入ってきていた相場は下値を維持できず雲を割り込みました。
これは大きな変化であり、トレンドの転換が指摘されています。
なぜ転換してきたのでしょうか。
実は、白金の価格変動要因に重要な変化が起こっていたのです。
こちらは南アフリカの通貨ランドの月足チャートです。
ご存知のとおり、南アは世界一の白金の鉱山生産地です。
ドル建ての白金は、生産地である南アの通貨変動によっても価格が左右されます。
ランド高(ドル安)になると、ドル建ての白金価格が上昇します。
逆にランド安(ドル高)になると、ドル建ての白金価格が下落します。
月足でみると過去に2度、対ランドでドルが急騰(ランド急落)しては、長い上ヒゲをつけた後、転換しているのがわかります。
今回もドルが急騰(ランド急落)後に長い上ヒゲをつけており、これまでドル建ての白金価格は下落してきましたが、これが転換している可能性があります。
白金が金より底固く推移してきたことで、金-白金のサヤが縮小し一目均衡表の雲を割れてきたのです。
このため中長期的には金を買うのであれば、白金を買ったほうが投資妙味があると言えるでしょう。
金融市場の過剰流動性に変化!?
次は、金融市場の過剰流動性に変化が?という話題です。
こちらはシカゴ大豆のチャートと取組高(赤線)を示しています。
シカゴ大豆は価格が下げてきている中にあって、取組高が過去最高に高まっているという現象が生じています。
通常は価格が上昇すると人気が高まり取組高が増加するのですが、なぜ値位置が上がっていない中で取組が増加しているのでしょうか。
これはシカゴ大豆に限らず、金融市場に共通して言えることですが、危険な動きだと私は見ています。
米国の利上げが始まる中、まだまだ緩和状態が続くと期待している表れでしょうか。
NYダウにもお金が流れています。
金融緩和を続けてくれると市場はみていますが、利上げなら急落してミニバブルになるのではないでしょうか。
今週の一大イベントである4月のFOMCでは、過剰流動性になっている市場にどんな影響を与えるのかに注目です。
利上げできずに緩和継続ならこの状況は続きますが、一方で利上げなら市場から資金が流出していくでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。