金ETF残高の急増は、弱材料になる?
(ポイント)
CFTCと金ETFの連動する関係に注目
こちらは2014年12月からのNY金のチャートですが、昨年1月の高値に迫る勢いです。
直近の先週の動きを振り返ってみましょう。
先週の動きは、1200~1250ドルをいったりきたりする動きで方向感がでない中、週末は米国のGDPが上方修正されたことで3月利上げ論が再度台頭しはじめ、久々に10ドル以上も下落しました。
私は、目先は上値重い相場になるとみています。
まずは、CFTCの建玉明細で投機筋のポジションの推移をご覧ください。
買い越し(差引)が600トンを超えて、昨年10月の水準を超え、昨年1月の水準に近づいてきました。
買いのポジションも900トンを超えてきています。
投機筋の買いは膨らんでおり、引き続き買われ過ぎ懸念から、上値警戒が必要です。
戻したとこを売っていくのがよく、東京金では60分足で安値から50円以上上昇したところは売り場になるでしょう。
一方で長期資金が入るとされている金ETFが、今年に入り増加傾向をたどり、ついに760トンまで増加してきています。
これは昨年1月と同じ状況です。
巷では、中長期の資金が入ると言われてる金ETFなので、この増加は中長期的な上昇をサポートすると言われていますが、私は短期的にはこの金ETFの急増は弱材料とみています。
それは、CFTCの投機筋のポジション推移と金ETF残高のチャートを比べてみると分かるのですが、両者が連動した動きをみせていることです。
投機筋の買い越し(差引)のグラフと、金ETFの波動はほぼ同じです。
短期での売買が主の投機筋が買いに走れば、金ETFの残高も増加しており、逆に買い越しが減れば、金ETFの残高も減っている傾向にあります。
つまり、金ETFも中長期保有する投資家だけでなく、短期的な資金も入ってきているということではないでしょうか。
投機筋のポジションは買いが積み上がり買われすぎ感が漂っています。これが上値を重くしており、仮に売られる展開になると、金ETFも減少するでしょう。
相場はここからさらに買われるだけの資金に余裕がない状態とみています。
仮に強い材料がでても上値は重く、弱い材料がでると一気に積み上がった買いが減少するでしょう。
結果、相場は下落すると思われます。
その予兆をどうみるかですが、CFTCと金ETFの発表にタイムラグがあることに注目すべきです。
投機筋の売り、買いの動向が分かるCFTC建玉明細の発表は、週1回、火曜日のデータを土曜日に発表します。
一方の金ETFの残高は毎日発表されます。
両者は同じような波動を描くため、金ETFが減少するとCFTCの投機筋のポジションも減少しているとの推測がたちます。
今後の相場動向を読むには金ETFの動きを注視しておきましょう。
昨年1月や10月は投機筋の買い越しが膨らみ、かつ金ETFも増加していたところが高値となり、その後は下落に転じているため、現在の状況では高値警戒をしてくおくべきでしょう。
最後に、NY銀とNY白金もみておきましょう。
銀、白金ともに投機筋の買い越し(差引)が増加して昨年1月や10月の水準まで達してきています。
特に銀は同時期の水準を超えてきました。
昨年1月や10月は高値となりその後は下落に転じているため、高値警戒が必要です。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください