・貴金属相場は2010年時の動きに酷似!?
後藤道義(セントラル商事株式会社シニアストラテジスト)
東京商品取引所認定(貴金属)
・原油は貴金属に遅れて調整入りへ
萩原航(セントラル商事株式会社商品アナリスト)
東京商品取引所認定(貴金属・石油・農産物・ゴム・オプション)
貴金属相場は2010年時の動きに酷似!?
後藤道義(セントラル商事株式会社シニアストラテジスト)
貴金属相場は、5つの点で、2010時の動きに似ており、中期的な上昇が見込まれます。
5つの酷似点は、以下の通りです。
①米国の量的緩和
②取組高増加
③ETF残高の増加
④投機筋の買い越しの増加
⑤銀の急伸
1つ目の量的緩和ですが、2010年時は量的緩和真っ只中でした。
現在は、米国が緩和縮小が始まっていますが、今年2回利上げされる予定が見送られることが予想され、そのペースはゆっくりとしたものになっており、緩和状態は継続されます。
また欧州や日本がマイナス金利になるなど、世界的には金融緩和が続く見込みです。
2つ目は、人気のバロメーターでもある取組高が増加していることです。
2010年時は60万枚まで取組が増加しましたが、現在も60万枚に到達するなど取組が増加しています。
3つ目は、金ETFの増加です。
2010年時と同じく、現在も急増しており、金への人気が高まっているのが分かります。
4つ目は、投機筋の買いポジションが膨らんでいることです。
投機筋の買い越し(買いから売りを引いた数字)が1000トンを越えています。
2010年時も1000トン越えを目指す勢いでした。
これまでは過去の経験則から、1000トンまで増えると買い一杯で調整が懸念されていました。
しかし、私はこの経験則を打ち破る新しいステージに入ったと見ています。
5つ目は、銀が急伸いていることです。
下のグラフは、NY金をNY銀で割ったNY金銀比価チャートです。
相対的に銀より金の方が強ければ上昇します。
一方で、相対的に金より銀の方が強ければ下落します。
2010年は、一目均衡表の基準線を割り込み、チャートは大きく下落しました。
現在は、4~5年ぶりに一目均衡表の基準線を割り込んできています。
これは、金銀相場が上昇するときには、金より銀の方が上昇が顕著になることを示しています。
また傾向として、貴金属相場が大きく動くときには、真っ先に銀が動き出します。
金相場のまとめ
貴金属相場は、投機筋の買いが膨らんでいることから短期的には調整があるかもしれませんが、中長期は強気の地合が整ったと見て良いでしょう。
これまで数年間は株が上昇して貴金属相場が下落してきましたが、これからは株と貴金属相場の立場は逆転で、株より商品の時代がくると見ています。
原油は貴金属に遅れて調整入りへ
萩原航(セントラル商事株式会社商品アナリスト)
NY原油は、50ドルを上値にもみあっていましたが、先週そのもみ合いを下に抜けて、移動平均線ではデッドクロスになりました。
原油は貴金属が調整していた時に堅調に推移してきましたが、ここにきて遅れて調整入りしたと私は見ています。
原油は、短期的には内部要因やテクニカルの悪化から調整入りし、しばらく6月の高値を抜けないでしょう。
原油が下げると他の商品も引っ張られる傾向にあり、また株価にも影響するので目先は注意が必要です。
ただし、投機筋の買いポジションが整理されると下値は限定的です。
中長期でみると、過剰流動性で資金が商品に入っており、トレンドは上昇傾向にあると思います。