お笑い芸人を目指したが断念し、その後サラリーマンを経験したのち投資家へ転身したむらやん氏。
インタビュー中編となる今回は、彼のトレード時の心構えや銘柄選びなど、投資を考える上で重要なテーマについて聞いた。
●損切りと感情的にならない事の⼤切さ。我を⾒失った結果、30 分で 1300 万円の損失を出した経験から学ぶトレードの⼼得
―上⼿くいったなというトレード、⼀⽅で失敗したなというトレード。何かエピソードがあれば教えて下さい。
うまくいったというのはあまりないんですけど(笑)10 個くらいシナリオを考えた時、3つぐらい当たれば⼗分なんですけど、絶好調の時は7つぐらい当たる。⼀⽅で絶不調の時は1つぐらいしか当たらない。ハマる時はこれをこうしてという⼀つのルーティンが頭の中に浮かんでいるので、本当にその通りにやるとプラス 50 万、100 万と流れるように利益になる時があります。それは⾃分のその時の相場と考え⽅と⾝体の調⼦がマッチしている時だったりします。
昔は「こういう株が上がる」というのが物凄く出てきて、すぐに 10 個思いついていたのが、今は 1 つ思いつくかなっていうぐらいになってきていて、少し⽼化を感じていたりはします。中国ショックの時あたりは⾃分の調⼦が悪かったにもかかわらず調⼦が悪くて取り返そうとして⼤きな⾦額を張って 30 分くらいで 1200、1300 万ぐらい負けました。取り返そう取り返そうとして泥沼にはまったパターンですね。たった30分でそんなに負けた事はなかったので、ああ何をしてたんだろうと反省しました。我を⾒失った結果、そういう取引をしてしまったのが失敗したトレードでしたね。取り返そうとするトレードはダメですね。
―トレードをする際に⼼がけている事とか、⼤切にしている事はありますか。
やっぱりベタすぎますし、誰もが⾔うとは思いますが、感情的にならないというのが⼀つと、後は損切りを徹底する事です。この⼆つのスタンスを崩すと、お⾦が減るのが凄く速いと思うんですよね。そこに関しては僕もいっぱい失敗しているので、できるだけ守ろうと。
もう⼀つ⾔えば、急がない事も⼤事です。若い時って急いでいたんですよね。26 歳から株を始めましたが、2年ぐらいで5億ぐらい欲しいみたいに思っていました(笑)。でもそんな事って中々できないじゃないですか。急いで⾦を稼ぎたいっていうのが、焦りに繋がって結果遠回りになってしまう。凄くリスクのある張り⽅をすると、半年間やって倍になったとしても1ヶ⽉で元どおりになってしまえば、その間の7ヶ⽉かけた労⼒からのリターンはゼロになってしまう。
僕もああこれなんかおかしいな?っていうのを感じながらもずっとやっていたんですけども、急ぎすぎたらすぐお⾦が減るっていう事に気づきました。僕も年を取ったので、いまさらそんなに急ぐ必要何もないなって感じてます。⽣活に困らないお⾦があって、相場でさらに稼げれば良くて、相場でゼロになるリスクを背負ってまで張る必要はないかなっていう⾵に変わりましたので。
―確かに多くの投資家の⽅は損切りは早い⽅が良いとおっしゃいますが、どのタイミングで損切りをすればいいか、早いとはどれくらいの感覚なのでしょうか。
⼈それぞれの部分はありますが、ただ僕らの周りの⻑い事同じキャリアでやっている友達は、今の資産から短期間でどれぐらいまで減る、要は失敗したトレードをした時に何%ドローダウンしたっていう話をするんですけど、わりとみんなシビアです。1トレードではなく、資産全体に対して 10%以上ドローダウンしていたら危険サイン点灯ですねっていう⾵に僕らの周りでは話をしています。20%ドローダウンまでいくと、確実に何か問題があるから、⼀旦取引を抑えるとも。悪い⽅にそれは転がっていっているので。
例えば、総資産1千万円持っている⼈なら 200 万円、総資産1億の⽅であれば 2000 万円を数ヶ⽉の短期間で減らしているのであれば⼀旦休憩して⽴ち⽌まって⾒直そうみたいな事は⾔っていますね。10%減ると⻩⾊信号、20%減ると⾚信号、30%とか超えてくれば⼀旦止めて、⾒るだけでもいいので、休憩した⽅がいいとはみんな⾔っていますね。
―⾚信号が出れば⼀旦休憩。むらやんさんのお知り合いには凄腕トレーダーの⽅も多くいらっしゃると思いますが皆さんしっかりリスク管理されているんですね。
そうですね。ただそういったリスク管理のスタンスとは真逆に、ハイレバレッジでデリバティブとか商品先物とかをギャンブル感覚で取引される⽅がいます。そういう⽅を⾒ていると、100 万が1、2ヶ⽉で数千万とかになるんですよ。100 が 200、200 が 500、500 が 1000 みたいな丁半博打みたいな。半か丁かで、たまたま5、6回連続で当たったみたいな。でも1回でも外れるとゼロになっちゃうぐらいの危険な取引をしている。⼀瞬夢は⾒るんですけど、結局、最後ゼロになってるんですよ。
⽬標を決めてたらいいんでしょうけど、100 万が 3000 万になれば⼀旦終了みたいな。でも 3000 万までいったら 6000 万、次は 1 億 2000 万みたいになるんですよね。でも、1回こけたらゼロになってしまう。ゴールがないと、こけるまで張る。だからハイレバレッジの投資っていうのは⼀⾒魅⼒的に⾒えるんですけど、無くなってもいいかなと思える段階の⾦額ならいいんじゃないかなとは思いますね。例えば 5000 万まで増やした時に1回のミスでゼロになったら、ゼロと 5000 万って凄い差じゃないですか。
―⽬標の利益に達した際など、資産に応じてレバレッジやリスク管理などスタンスを変えなければならないという事ですね。
そうですね。レバレッジ取引でも通常のトレードでもそうですが、資産が増えたら、今度は守りながら増やす戦略が⼤切です。相場を始めた時からの⼗数年付き合いがある友達の話をさせていただくと、その⽅は以前株とか FX とか以前やってたんですけど、結局紆余曲折あって止めた⽅でした。止めて普通にサラリーマンをしていましたが、「ビットコインの仮想通貨 FX が凄いボラがあるからやってみたらいいねん」といった話を聞き、⼆⼗万⼊れて結構ハイレバレッジな取引をしてわずか3ヶ⽉半で1億3千万まで増やしたんですよ。
その友⼈が 3000 万くらいになった時に、⼀緒に飲んでいる時に「凄い急いで増やしたい気持ちはわかるけども、⼀旦レバレッジ落とした⽅がいいよ」とかみんなで話していました。その友⼈も「⼤丈夫、俺昔それで失敗しているからもう落としている」と、その⽅はレバレッジを落とせる⽅だった。リスクを半分ぐらい負けてもいいっていうやり⽅で利益を取り続けて、⼀気に稼ぎました。ハイレバレッジは最初の数⼗万ぐらいであればいいんですけど、ある程度増えたら守りながら増やす戦略に変えないと⼀撃で失うお⾦が⼤きすぎるという話はトレーダー仲間とよく話をしたりします。
●むらやん氏のチャートを見る際の手法、銘柄選びをする際の着眼点
―よく使っているテクニカル分析手法等はありますか。
テクニカルは移動平均線ぐらいしか見ません。中でも5日、25日、75日とかの移動平均線ぐらいしか見ていません。一目均衡表やRSIやボリンジャーバンドとかたくさんありますし、よく投資の教科書的な本には「RSIがこうなったら買いサインが点灯しています」、「ボリンジャーバンドがこうなったら買いです」とか書いてありますが、実際にはどっちかが外れていて、どっちかが当たっている時があります。
RSIでは売りのサインが点灯している一方で、ボリンジャーバンドで見ると買いのサインが点灯している事も実際にはあって、「え!?どっち?」ってなってしまいますよね。どういう指標を組み合わせたらいいんだろうと考えたりしますが、結局バラバラな動きをするのであんまりテクニカルを見なくなりました。日足ベースでチャートを見たり、移動平均線を見たり、売買代金も見ます。
―銘柄を選ぶ際にはどのような観点で見ているのですか。
新しいことをしそうな会社は注目して見ています。例えばAという会社は自動運転やAIとか新しい分野に特化していくベンチャー企業で、最先端のハイテクをいく会社。一方でスーパーマーケットが主な事業内容の会社Bは基本的に相変わらずの物を仕入れてお客さんに売るというのを繰り返している会社だったとして、Bという会社は安定はしているでしょうけど爆発はしなさそうですよね。
僕の場合はAのような会社に注目しています。そういう話題性やテーマ性がありそうな銘柄に投資をする事が多いです。食品関連や内需関連の銘柄は安定している一方で大化けが無いと言われているんですよね。大化けしそうな株は確かにリスクもありますけど、リスクの取れる範囲で選ぶようにしていて、デイトレとかでもガンガンやります。基本的に僕は時間軸が短いので、長く持っても1週間持つか持たないかぐらいなんですよ。基本的にデイトレから2、3日ぐらいの範囲が多いです。その範囲で予想が外れてたらもういいやっていう感じで。順調に自分が予想を描いたチャートの動きっぽくなっていたらいいんですけど、あんまり当たりませんが…(笑)。そんな感じでトレードしています。
●個人投資家がゲーム関連やバイオ関連に集まる理由とは−瞬間的に盛り上がるテーマ株に対して
―スバリ、まさに今年注目しているセクターや銘柄、テーマはありますか。
僕もその手の話をしたり、聞いたりするのでその趣旨って凄くよく分かるんですけど、投資をずっとやっていると凄く盛り上がったテーマ株があるとするじゃないですか。こういうジャンルの業種の株が盛り上がりましたとか。それって株価が上がってからわりと後付けで言われる事なんですよね。
ただ、個人的に今思いつく限りでいえば、来年オリンピックがあるので、今まで以上に多くの外国人の方が出入国されるという事で、カメラですべて顔を自動識別できる出入国ゲートのカメラ関連とかが挙げられます。後はAI搭載の自動運転が数年後には公道に乗れるかもしれないと言われていますけど、実際にはそれは中々先だと思います。
僕が勝手にイメージするのは、農家のトラクターとか、ああいうのを自動運転化すれば、高齢の農家の方でもスイッチをポチッと押して、収穫とかをしてくれるといった方がすぐ出来そう、実用化されそうだと思ってます。高齢化社会といった時代背景からも考えられますし、農業のトラクターを走らせるぐらいであれば、自分の土地だし、楽だし、危険性も無い。それに関連する農業機械関連や肥料などの銘柄も見ていたりします。
ただ、結局株価が上がってから後付けで言われているので、そういうテーマをイメージしたり考えたりしてもそういう株が上がるわけでもないので、難しいなとは思います(笑)。でも僕で多かったのは誰も言ってなかったようなテーマが後付けで挙げられたりするんですよね。
―いきなり注目されるテーマ株や、話題になる銘柄については飛びつかない方が良いのでしょうか。
短期だったらいいと思いますよ。数日間ぐらいのスパンであれば。結局そういうものって数週間とかで終わっちゃう事が多いので。いきなり株価が上昇して、「◯◯関連は凄い!」なんて盛り上がるけど、結局元の水準に戻っていく事が多い。
ただここ最近の相場で寿命が長かったり、何か材料があったりすれば株価が復活するっていうのはゲーム株とバイオ株なんですよ。大体のテーマや関連株というのは、話題性で上がっただけに、一旦急上昇するとしばらく上がる事が無い場合が多い。確かにゲーム株やバイオ株も天井から半分とか、3分の1ぐらいまで沈む事もあるんですけど、材料が出れば天井付近まで戻ったりすることも多い。だからゲーム株やバイオ株は人気なんでしょうね。
ゲーム関連で言えば、eSportsあたりの材料、話題があがればeSportsに関連した銘柄が動くかなとは見ています。ただ、本命の株って上がらないんですよね。例えばiPhoneが売れると、Appleの株価が凄く上がるのではなく、その周りの部品を作っている会社が凄く上がったりします。Appleみたいな会社は大きすぎるので、株価が動きにくい。一方で部品を作っている会社が話題一つでストップ高になったりするので、個人投資家はそういった銘柄を狙います。
●長期的な動きの予想よりも、短期の個人投資家はイベントごとに軌道修正していくもの
―今年のマーケット、日経平均はどういった動きをすると思いますか。
大きな楽観的な見方でいくと、今2万2,000円近辺ですけど、ボックスで推移して、年末には何だかんだ2万円ぐらいかなというイメージはあります。ブレグジット、FRBの利上げ、国内だと消費税と参院選のこの4つの材料が肝になってくると考えています。ただ、僕らのような短期の個人投資家は年末の株価を考えてる人ってあまりいません。
長期投資家の方であれば、多少今日、明日の上下がどうなるよりも見通しを立てることが大事だと思うのでいいんでしょうけど。でも僕らみたいな短期の個人投資家は期間が凄く短いので、何とかショックとか、逆に凄い好材料が出ればその時の株価の反応を見て、すぐ手のひら返して方向修正します。
最初は上がると思っていたけど、やっぱりこの状況だと下落が続くと思ったら持株を全部売って逆に空売りをするとか。今まで売りだと思ってたけど、買いに反転するとか。その時起きたイベントと、その株価の反応を見て上か下か決めるみたいなのが多いです。だから、イベントごとに方向を軌道修正していくという方が僕の周りでも多いですね。
むらやん氏インタビュー最終回となる次回後編ではブレグジットなどの政治の話から情報収集の方法、さらにはむらやん氏が出会った人々の話まで多岐に渡る内容をお届けする。
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