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2011年8月5日 日本銀行 総 裁 記 者 会 見 要 旨 ―― 2011年8月4日(木) 午後4時から約45分 (問) 本日の金融政策決定会合の結果について、ご説明頂けますでしょうか。 (答) 日本銀行は、本日の金融政策決定会合において、金融緩和を一段と強化するために、資産買入等の基金を10兆円程度増額し、50兆円程度とすることとしました。また、次回会合までの金融市場調節方針については、「無担保コールレート・オーバーナイト物を、0~0.1%程度で推移するよう促す。」とすることを全員一致で決定しました。 こうした決定の背景となる経済・物価情勢についてご説明します。わが国経済の現状については、「震災による供給面の制約が和らぐ中で、着実に持ち直してきている」と判断しています。先行きについても、生産活動が回復していくにつれ、輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要、いわゆる復興需要の顕現化などから、緩やかな回復経路に復していくとみられます。生鮮食品を除く消費者物価の前年比も小幅のプラスでの推移を続けると考えられます。 しかしながら、こうした見通しを巡る不確実性は高く、このところ、景気の下振れリスクに留意すべき情勢となっています。海外経済をみると、米国においては、債務上限問題が決着をみた後も、市場では、財政健全化を巡る懸念は払拭されておらず、最近では景気の先行きに関する見方も慎重化しています。このほか、欧州周縁国のソブリンリスク問題や、新興国の物価安定と成長の両立など、海外経済は、引き続き大きな不確実性を抱えています。こうした海外情勢や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動については、わが国の企業マインド、ひいては経済活動にマイナスの影響を与える可能性があると認識しています。
この間、物価面では、今月に予定されている基準改定に伴い、消費者
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物価の前年比が下方改定され、マイナスの可能性を含めゼロ近傍となる可能性が高いとみています。その点も踏まえると、物価安定の実現までにはなお時間を要するとみられます。 日本銀行は、こうした景気・物価情勢を検討した上で、金融緩和を一段と強化し、これを通じて、震災からの立ち直り局面から物価安定のもとでの持続的成長経路への移行を、より確かなものにすることが必要と判断しました。 日本経済は、急速な高齢化のもとでの成長力の強化という積年の課題に加え、震災からの復旧・復興という課題にも直面しています。先行き、新たな発展の基盤を築くためには、民間、政府を含め各方面の積極的な取り組みが不可欠です。日本銀行としても、第1に、包括的な金融緩和政策を通じた強力な金融緩和を推進しています。この包括的な金融緩和政策の下では、0~0.1%という実質的なゼロ金利を、「中長期的な物価安定の理解」に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断できるまで継続することを明らかにしているほか、今回増額した資産買入等の基金を通じて、多様な金融資産の買入れと長めの資金供給を進めています。第2に、金融市場の安定確保に努めています。第3に、成長基盤強化の支援を行っています。日本銀行は、以上の3つの措置を通じて、今後とも、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針です。
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