[東京 26日 ロイター] - 大和証券グループ本社の中田誠司社長は、企業買収・合併(M&A)の助言業務について、手数料収入を今後2―3年で500億円まで拡大させる考えを明らかにした。急ピッチな金利上昇や地政学リスクの高まりなどで市場に不透明感が増す中でも、中規模M&Aの需要は堅調という。
2022年3月期のM&Aの手数料収入は過去最高の352億円となった。中田社長はロイターとのインタビューで、欧米のM&Aでは「過去最高レベルのパイプラインを保有している」といい、今期も引き続き期待できるとした。M&A全体の手数料収入について「まずは500億円を目指す。このペースでいけば、あと2―3年で達成できる」との認識を示した。
同社は数年前から買収金額500―1000億円程度の中規模案件に注力し、他の投資銀行と差別化してきた。欧米でブティックと呼ばれるM&Aのアドバイザリーに特化した投資銀行を傘下に収めるなどし、海外でのネットワークも広げた。中田社長は、各地域で収益が出せる体制が構築できたとしたが、バンカーを確保するためにさらにブティックを買収する可能性はあると述べた。 米国などで進む金利上昇の影響について、中田社長は同社が得意とする中規模の案件ではそれほどないとした。数千億円以上のいわゆるメガディールでは若干の金利上昇でも資金面のハードルが高くなるため、大和の戦略が「アドバンテージになる可能性はある」という。ウクライナ情勢の影響も限定的とみている。
国内最大手の野村ホールディングスは、買収した再生可能エネルギー分野で強みを持つ米ノムラ・グリーンテックをてこに、M&A等に関するアドバイザリー収益を今後3年間で5割増やし7.5億ドルにするとしている。
※インタビューは23日に実施しました。