先週ワシントンで開催された米中貿易閣僚協議では期待に反して合意が成立しなかった。
ほぼ90%合意していたとされる重要な項目において、協議直前に中国側が合意を撤回し、再交渉を申し出たため、米国政府は2000億ドル規模の中国製品の関税引き上げに踏み切った。
ただ、経済のさらなる混乱を回避したい両国は協議終了ではなく、交渉継続を約束。
中国政府は米国の閣僚を北京に招待、次回の閣僚協議が北京で開催されることになる。
しかし日程はまだ未定だ。
米国政府は中国に対して、合意に向け30日の猶予を与えたとも報じられている。
米国の制裁関税に対して、中国政府は13日、報復措置を発表。
6月1日から600億ドルの対米製品に対して現行5%の関税を25%に引き上げるとした。
米国政府も残り3000憶ドル規模の中国製品に対する関税引き上げを決定する可能性が強まった。
トランプ大統領は「報復すれば対立悪化する」と警告。
ただ、トランプ大統領は現在のところ、まだ最終的な決定はしていないとしている。
関税の引き上げによる影響として、成長の鈍化と同時に材料費などの値上げで物価上昇も予想されている。
中国が報復措置の最終手段として米国債売却を検討すると恐れられている。
成長の鈍化は安全資産としての米国債の買い材料になる一方で、保有率が世界一の中国が保有している米国債を売却すると債券利回りの急伸にもつながりかねない。
中国の報復措置としてはそのほか、通貨の引き下げなどが懸念される。
焦点のひとつは、6月1日に実際、中国が計画している米製品600億ドルに対する関税引き上げを行うかどうか。
今後の展開次第で、急展開で交渉がまとまった場合は、中国は追加関税を実施しない可能性もある。
また、6月末に日本で開催が予定されているG20での米中首脳会談の結果。
トランプ大統領は、実のある結果になる可能性も除外していない。
米金利先物市場では早くて9月の利下げを織り込み始めた。
年内の利下げ確率はほぼ100%まで上昇。
ただ、2019年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するローゼングレン・ボストン連銀総裁はもし、現在の米中貿易交渉の膠着が数週間にとどまったとしたら、「ほぼ影響はない」と指摘。
景気後退に陥る確率も低いと見ているようだ。
また、通常はハト派として知られるカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁も米中貿易戦争において、米国経済が強く、「非常に強い位置にいる」と楽観的な見解を示した。
■米中貿易戦争が経済に与える影響、見通し*JPモルガン「貿易戦争は本年の資本支出を横ばいにとどめる可能性」*ゴールドマンサックス「米国の経済成長を0.4%引き下げる。
ほぼんど全ての価格が上昇する」