■飯野海運 (T:9119)の今後の見通し2. セグメント別の取り組みセグメント別の取り組みは以下のとおりである。
(1)海運業外航海運業ではケミカルタンカーの大幅増益を見込んでいる。
2019年3月期は市況回復が遅れて減益だったが、石油化学製品の海上荷動きの増加基調に変化はなく、一方では新造船竣工の落ち着きや、IMO規制適合燃料油の輸送需要発生に伴うプロダクトタンカーの石油製品市場への回帰などで、2020年3月期は市況回復を見込んでいる。
規制適合燃料油使用によるコストアップについては負担を荷主に求め、COA(数量輸送契約)等の契約に反映すべく交渉する方針としている。
効率配船も推進して採算改善を図る。
なお二元燃料主機関搭載の新造メタノール船(定期用船)の竣工を下期に予定している。
オイルタンカーは入渠影響で減益見込みだが、市況影響を受けない中長期契約による安定収益の積み上げを推進する。
なお新造VLCC1隻の竣工を下期に予定している。
ガスキャリアは横ばい見込みだが、安定的収益を確保すべく、市況の変化を注視しながら柔軟に対応する。
ドライバルクは入渠影響や市況影響で減益見込みだが、船隊規模最適化や新規契約開拓に取り組む。
内航・近海海運業は入渠影響で減益見込みだが、安定収益の積み上げを推進する。
(2)不動産業笹塚センタービル売却(2017年3月)や、新橋田村町地区市街地再開発事業(2018年着工、2021年3月建物竣工予定)に伴う東京桜田ビル解体で、一時的に稼働棟数が減少していることに加えて、2020年3月期は飯野ビルディングの一部テナント退去による一時的稼働減の影響を受けて減益見込みである。
ただし安定収益源に変化はなく、飯野ビルディングのリーシング活動を推進する。
さらに大規模再開発による西新橋・虎ノ門地区の価値向上が期待される。
新橋田村町地区市街地再開発事業が稼働する2022年3月期には収益拡大に転じる見込みだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)