5日の原油価格は下落している。一方、英海兵隊は石油タンカーを拿捕(だほ)したと発表し、中東情勢は緊迫化している。
日本時間午後4時58分におけるWTI原油は1.5%安の56.48、ブレント原油は0.43%安63.03となっている。
報道によると、英海兵隊は英領ジブラルタルの沖合で、大型タンカーを拿捕(だほ)した。タンカーは欧州連合(EU)の制裁に違反して、シリアにイラン産原油を輸送していた疑いがある。
拿捕は「違法で受け入れられない」として、イラン外務省は駐テヘランの英国大使を呼び出して抗議した。
ピルズベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマン法律事務所のマシュー・オレスマン氏は「EUが世界の前でこのような積極的な行動を起こしたのは、今回が初めてである。英国が北大西洋条約機構(NATO)加盟国であることを考慮すると、米国と何らかの方法で調整していたことが予想される」と述べた。
また、「これは、シリアやイラン、米国に対し、EUは制裁措置の履行に真剣な態度で臨んでおり、イランの核を巡る瀬戸際政策にも対応できるとのメッセージである公算が大きい」と指摘した。
ジョン・ボルトン米大統領補佐官は、今回の件を「素晴らしいニュース」であると述べた。
同氏は「米国と我が同盟国は、イランやシリアが原油の違法取引から利益を上げることを防止し続けるだろう」とツイッター上で発言した。
これらの報道に反して、景気や需要への懸念から本日の原油価格は下落している。
「世界経済の動向は、依然として原油市場にとって無視できない要因である」とオアンダのシニアアナリストであるAlfonso Esparza氏は述べた。また「OPECプラスの原油減産延長は、原油価格を今後下支えすることが予想される。しかし、エネルギー製品への需要回復を確実にするためには、保護貿易には終わりがなくてはならない」と指摘した。
今週初め、OPECプラスは2020年3月までの原油減産の延長で合意した。
米エネルギー情報局(EIA)は3日、先週の米原油在庫量が予想の296万バレル減に対し、110万バレル減となったことを発表した。
また、米石油協会(API)は2日、先週の原油在庫量が500万バレル以上減少したことを発表した。
これらの発表は、原油消費が鈍化し米国における需要が減速していることを示している