[カラカス 15日 ロイター] - ベネズエラの野党勢力が過半数を占める議会が、石油産業の民間企業への開放に向けた法案の検討を進めている。ロイターが草案の内容を確認した。
草案は石油部門の収益性を改善するため、民間企業がベネズエラ国有石油会社PDVSA[PDVSA.UL]の上流部門との合弁事業で過半数株を取得することや、PDVSAが製油所を民間企業に売却することを認めている。
ベネズエラではマドゥロ大統領がPDVSAを含め、国家機能の支配権を掌握。議会が法案を可決しても大統領が決議を無効にする措置に出ることなどから、今回の法案が直接に効力をもつ可能性は低い。
しかし野党連合出身のグアイド国会議長がマドゥロ氏を退陣に追い込むことに成功した場合に、外国企業を引き戻し、低迷する石油生産を上向かせるためにグアイド氏がどんな政策を進めるかについての手掛かりにはなる。
ただ、草案はグアイド氏の関係者が6月に示した抜本改革案からは内容が後退している。採掘権入札を監視する独立の規制機関の創設が盛り込まれておらず、開発業者がベネズエラに支払うロイヤルティーの水準も現在と変わらない。現行の石油炭素法を下敷きにしており、68の条項のうち8つに変更を加える。
議会のエネルギー・石油委員会のメンバーで、グアイド氏の野党・大衆意志党出身のルイス・ステファネリ氏は電話取材に対し、議論が起きて合意形成に時間がかかる新法の成立を目指すのではなく、議会通過が容易な限定的な改革を決めたと述べた。
ベネズエラの原油生産量は20年前には日量300万バレル近くだったが、1993ー2013年のチャベス政権時代に減少傾向が続いた。チャベス氏はPDVSAのベテラン従業員を大量解雇し、民間企業をPDVSAが支配権を持つ合弁企業に統合させた。これは、エクソンモービルなど外資企業のベネズエラ撤退を引き起こした。
チャベス氏を継いだマドゥロ政権になると、ベネズエラの経済危機を嫌って残りの従業員の国外脱出や、石油産業の経験のない軍人らがPDVSAの幹部に起用されたことなどから、原油生産の落ち込みに拍車が掛かったとされている。