[北京 2日 ロイター] - 財新/マークイットが発表した11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.8と前月の51.7から上昇し、2016年12月以来の高水準となった。堅調な生産や新規受注が上昇につながった。
ただ、不透明な需要見通しや米中貿易戦争の長期化を巡る懸念を背景に企業信頼感は低下し、投資拡大に消極的な姿勢が示された。
PMIは50が景況改善・悪化の分岐点。ロイターがまとめたエコノミストの予想は51.4への低下だった。
CEBMグループのマクロ経済分析部門ディレクター、Zhengsheng Zhong氏は、11月は国内外の需要がともに上向いたと指摘。製造業の投資は最近の底付近で推移している可能性があるが「米中通商協議が次の段階に進展し、企業信頼感が実質的に回復すれば、製造業の生産と投資は強い改善が見込まれる」と語った。
11月は新規受注と生産を示す指数がともに50を上回る水準を維持した。ただ前月はそれぞれ約6年ぶりと3年ぶりの高水準を記録しており、前月からはやや低下した。
新規輸出受注指数は51で、同指数も2018年2月以来の高水準だった前月からやや低下した。雇用指数は8カ月ぶりに50を上回った。
ただ、投入価格が上昇する一方、産出価格は低下し、利益率は引き続き圧迫されている。厳しい競争で一部の企業はなお値引きを強いられているようだ。
<根強いデフレリスク>
アナリストの間では、製造業のデフレリスクに対する懸念が根強い。国家統計局発表のPMI統計[nL4N28B014]と財新/マークイットのPMI統計のサブ指数を見ると、回復はまだら模様で、持続は難しいという。
中国担当エコノミストのジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「両PMIは異なる要因で回復している。製造業の活動は一見上向いているように見えるが、理由を特定するのは難しい」と指摘。「本格的な回復基調の始まりだとは思えない」と述べた。
マッコーリー・グループの中国担当チーフエコノミスト、ラリー・フー氏は、貿易交渉のムード改善や好天といった多くの一時的な追い風が消滅すれば、回復に悪影響が及ぶ可能性があるとの見方を示した。
今回の調査によると、企業信頼感は低下しており、在庫補充の意欲も低い。需要の不透明な見通しと米中貿易戦争の長期化が懸念されている。
ANZの中国担当シニアエコノミスト、ベティ・ワン氏は「PMIの上昇は、今年の中国経済が6%を超える成長を達成できる可能性を示唆しているのかもしれない」と指摘。
その上で「製造業PMIの価格サブ指数は低下が続いており、製造業にデフレリスクが残っていることを示唆している」と述べた。
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