[ロンドン 12日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は12日、新型コロナウイルスのワクチン普及による世界の石油需要回復は2021年後半まで実現しない可能性が高いとの見方を示した。ワクチン開発進展に関する週初の発表を受け原油相場は上昇していたが、IEAの発表を受け反落した。
IEAは月報で「ワクチンによってどのように、そしていつ普通の生活に戻れるのかを理解するには時期尚早だ。現段階で21年上半期に大きな影響を与えることは見込んでいない」と指摘。「需要見通しが軟調な上、一部の国は増産している。現在のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が相場を下支えするには弱すぎることを示唆する」とした。
北海ブレント原油先物 (LCOc1)は序盤に0.8%安の1バレル=43.46ドルとなり、4営業日ぶりに反落した。
IEAは、9月の経済協力開発機構(OECD)加盟国の原油在庫が2カ月連続で緩やかに減少したものの、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)のさなかにあった5月に付けたピークからそう離れていないと指摘した。
IEAは今年の世界石油需要見通しを前回予想から日量40万バレル引き下げた。欧州と米国で新型コロナ感染が再び拡大していることや、ロックダウン(都市封鎖)措置が再導入されていることを理由に挙げた。
中国とインドの需要見通しは引き上げ、全体の暗い見通しを幾分和らげた。ただ、IEAの試算は新たなパンデミックは想定してない。
IEAは、石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国を加えた「OPECプラス」が、産油量を1月から日量200万バレル引き上げる計画であることから、供給が需要を上回ると警告した。OPECプラスが減産幅を縮小する計画を進めた場合、原油在庫の減少傾向は21年第1・四半期に終わると指摘。「ファンダメンタルズが変わらない限り、市場均衡化が進展するペースは遅いだろう」と述べた。