[北京 14日 ロイター] - 中国生態環境省は14日、全国的な炭素の排出量取引制度(ETS)を月内に正式に開始すると発表した。具体的な日取りは示していない。
今や世界最大の二酸化炭素排出国となった中国は、「市場メカニズム」を活用して2060年までに排出実質ゼロとすることを目指しており、ETSはこの計画の一環となっている。
ただETSを巡っては、排出データの透明性への懸念などを巡り、これまでに幾度も延期されていた。今月にはある電力会社がデータを偽造していたことが明らかになった。
同省の趙英民次官はブリーフィングで、準備作業は基本的に完了したと説明。「全国ETSを開始する期日を選定し、7月に取引を実行する」と付け加えた。
複数の関係筋は16日に開始式典があると見込んでいる。
炭素取引は当初、6月末までに開始するとみられていた。延期理由は分かっていない。
中国は自国のETSを取引量ベースで世界最大の炭素市場にする方針だ。
欧州連合(EU)もこの日、気候変動に対応するための野心的な計画を公表する見込みで、ETS改革も含まれると見られる。
趙次官は、ETSの第1段階では2000以上の発電所が対象となり、いずれセメントや鉄鋼、アルミニウムなど、他のセクターにも広げると説明した。具体的な日程は明らかにしなかった。
次官は全国炭素市場にとって排出データの正確性は最優先事項だと指摘。数年にわたるデータ報告と点検作業を経て、全国ETSデータの現在の質は総じて条件に合致していると述べた。
次官は、ETSの炭素価格について、「予想するのは困難」としつつ、試験運用では平均でトン当たり40─50元(6.18─7.72ドル)程度だったとした。